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成程話:突き抜けた覚悟

2013年11月12日 23:51

医師、上山博康氏の心に響く言葉

上山博康医師は脳の血管にできる瘤(こぶ)、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の手術の第一人者として知られ、勤務する北海道旭川赤十字病院には、全国から患者が殺到する。
しかし、医師としての凄みは、手術の技量だけにあるのではない。
それは、突き抜けた覚悟にある。
動脈瘤という病気は、患者にとってきわめてやっかいなものだ。
ひとたび破裂すれば、9割が死に至るが、必ず破裂するとは限らない。
手術が失敗すれば、重い障害が残り、時に命にも関わる。
当然、医師はその危険を告知した上で、自らの判断を告げる。
上山さんは、そうした不安と迷いのなかにある患者たちに、リスクリスクとして伝えた上で、覚悟を持って「自分はこの手術を成功させます」と言い切る。
弁護士さんに「上山先生のやり方、危ないですよ」と言われたことがあるんです。大丈夫ですよという手術をやるのは危ないですよって。でもね、やっぱり僕は患者さんが命懸けの信頼を僕にくれるのに、逃げ道を先に、自己弁護を先に出すというのはなんか卑怯な気がします』
「危ない」というのは、失敗したときに、医療過誤で訴えられることを意味する。
しかし、上山さんは、覚悟を持って言い切るという医師としての流儀を貫き通してきた。
このすさまじいまでの信念、覚悟を持った生き方の陰には、若き日に恩師から受け取った、一つの言葉がある。
恩師の名は伊藤善太郎さん。
脳卒中治療のエキスパートとして全国にその名を知られた脳神経外科医である。
上山さんは、29歳のとき、伊藤さんの手術を見て、その流れるような針さばきに心を奪われ、勤めていた大学病院をやめ、秋田にある伊藤さんの病院で働き始めた。
来る日も来る日も伊藤さんの手術に立ち合い、その一挙手一投足に目をこらした。
そんな修行の日々のなかで、上山さんには一つどうしても気になることがあったという。
患者が亡くなったときの伊藤さんの態度だ。
伊藤さんは、必ず「力及ばず申し訳ありませんでした」と家族に謝った。
それは手の施しようがない場合でも変わらなかった。
合点がいかない上山さんはある日、師匠に食ってかかった。
『僕は、それはおかしいって言ったんですよ。こっちは何も悪いことをしていない。そんなに詫びていると、こっちに医療ミスがあったように思われたら困らないですかって。でも、そう言うと、伊藤先生はむっとして、ちょっと厳しい顔つきになって「上山、それは医者の論理だぞ」って言いました。助けて欲しいから、ここに来たんだろうって。助けられないのはおれたちの力がないからだよって』
伊藤さんは、日々の治療に加え、新しい治療法開発にも力を注いだ。
しかし、どんな世界でも、新しいアプローチは往々にして、批判の対象となる。
伊藤さんの研究も例外ではなく、学会では、幾度も厳しい声にさらされた。
なかには、やっかみや理不尽言いがかりのようなものもあったが、伊藤さんはどんな意見にも耳を傾け、研究を前進させるために、次なる取り組みに邁進した。
ある日、学会発表の準備をしているときだった。
伊藤さんが、若い上山さんに向け、ぽつりと言った。
批評家になるな。いつも、批判される側にいろ」
『何かをやり続ければ、必ず、やっかみもあるだろうしね、批判もされます。「つねに批判される側でいろ」ということは、つねにアクティブに仕事を止めるなと。だから、僕が親分の言うことを守ろうとしたらね、いわゆる自転車操業を超えて、マグロとかカツオと同じように一生泳ぎ続けるしかない。歩みを止めるのは、自分が死ぬとき』
恩師・伊藤善太郎さんからもらった言葉を、上山さんは自分にとっての「灯台」と呼ぶ。

『人生と仕事を変えた57の言葉』(NHKプロフェッショナル」制作班)NHK出版新書362


残念なことにこの世には、自分のことは棚にあげて他人を批判する人は多い。
かつて、多くの政治家たちは自分の失敗を秘書のせいにしてきたが、実業の世界で、経営者やリーダーが、もしそれを部下や環境や他人のせいにしたとしたら、またたくまにリーダー失格の烙印を押され、会社の業績も急落するだろう。
自分や部下のやったこと、あるいは天変地異による影響さえも、自分の責任と、捉えるには、上に立つ者としての覚悟が必要。
覚悟とは決めること。
右に行くのか左に行くか、やるのかやらないのか、決めること。そして、決めたらそれを飲み込み、引き受けること。
全てを引き受ければ、肚が決まり、退路が断たれる。
なにも、覚悟は大きなことだけではない。
小さなことだとなめてかかると、手痛いしっぺ返しを喰らうことがある。
どんな些細なことであろうと、覚悟してかかる。
批評家ではなく、つねに批判される側でいること」
覚悟のある人は、「文句を言わない」、「人のせいにしない」、「いい訳しない」。

このウラログへのコメント

  • wwwうさぎjp 2013年11月13日 06:40

    格好いいでね。
    批評家になるな。

  • なな♪ 2013年11月13日 23:37

    PANDAさん:責任を意識してる人はやっぱり違いますよね

  • なな♪ 2013年11月13日 23:38

    仮面紳士さん:ですね私も気をつけなきゃ

  • ゆうき2 2013年11月17日 12:26

    ごもっとも!
    辛いと思うか楽しめるか。。。。

  • なな♪ 2013年11月17日 21:38

    ゆうき2さん:突き抜けられると楽しくなってくるのかな

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