デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

★吉原(4)高尾太夫 前編

2011年05月17日 18:47

★吉原(4)高尾太夫 前編

神田にある紺屋に勤めている染物職人久蔵。11の年から親方に奉公して、今や26。遊び一つ知らず、まじめ一途。・・・その久蔵が、なぜか三日前から患って寝込んでしまっている。心配になった親方の六兵衛が尋ねてみると、返ってきた答えはなんと・・・


『親方・・お医者様でも、草津の湯でも・・・』
『えっ!恋わずらいかい?』・・・親方もびっくり仰天。


話を詳しく聞いてみると・・・三日ほど前、友達の付き合いで吉原に行き、話の種だからとと言われ『花魁道中』を初めて目にした・・・という。その時、目にした高尾太夫のこの世のものとも思えない美しさに魂を奪われ、それから何を見ても高尾に見えるようになってしまった・・・と、まぁそう言うわけらしい。あんな美人と一晩語り明かしてみたいが、相手は「大名道具」と言われる松の位の太夫・・・とても無理だ・・・と、諦めて帰ってきたとたん、がっくり来て、寝込んでしまったのだというのだ。


いやいや、あまりにもの話に唖然とした親方だったが・・・このまじめ一徹の男に、面と向かって『駄目だ』というとかえって変になってしまう。ここはひとつ、久蔵の願いをかなえてやろう・・・そう思い、


『いくら太夫でも売り物買い物だろ? 俺に任せろ、高尾太夫に会わせてやる!』



・・・と啖呵を切ったものの・・・さすがに最高位の花魁高尾を座敷に呼ぶのにはどう少なく見積もっても十両はかかる。久蔵の給金の三年分。『そうか、三年間我慢して一心不乱に仕事すれば、高尾太夫にあえる!』・・・希望が出たのか、久蔵は、にわかに元気になった。



それから三年というもの、久蔵は一心不乱に働いて、入ってくるお金はすべて貯金。その結果、三年たったころには彼の貯金十両を通り越し、十三両近くにもなった。このお金を持って、遊びに行ければいいのだが、何せ相手は「大名道具」と言われる松の位の太夫。突然乗り込んでいっても会えるわけがない。



そこで、親方、まずは、お玉が池の竹内蘭石という医者に相談する。この先生、腕の方は、まぁ、大したことはないが、こと遊び・・となると、なかなか粋な人物。早速、教えを請うと、それはまぁ、いろいろとアイディア豊富なこと!


『いくらお金を積んでも、紺屋職人では高尾が相手にしてくれるわけがない。そこで、久蔵さんを流山のお大尽(金持ち)と言うことにして、私が、その取り巻きということで、一芝居打ちましょう。下手なことを口走ると紺屋がバレるから、何を言われても・・あいよ、あいよ・・で通しなさい』・・・なんてね・・・


帯や羽織もみな親方にそろえてもらい、すっかりにわか大尽に扮した久蔵さん。先生のおかげで無事に吉原に到着し、高尾に会いたいと申し出ると・・・なんと高尾が空いていた!しかも、高尾自身も・・・大名のお相手ばかりで疲れるから、たまにはそんな方のお相手がしてみたい・・・と言っているんだとか・・・。


さて、三浦屋。久蔵高尾の部屋でドギマギしていると高尾太夫がしずしずと登場。少し斜めに構えて、煙管で煙草を一服つけると・・・


『お大尽、一服のみなんし』・・・松の位の決まりとして、初会では客に肌身は許さないから今日はこれで終わり。花魁が型通り


『今度はいつ来てくんなます』・・・と訊ねると、感極まった久蔵は泣き出してしまった。


さーてさて、どうなる! 紺屋高尾、明日は後編のくだり!!

このウラログへのコメント

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

zz987

  • メールを送信する

zz987さんの最近のウラログ

<2011年05月>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31