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United 93 ; 観た映画、 Okt.08

2008年09月22日 23:15

ユナイテッド93  (2006)
UNITED 93
111分

監督:ポールグリーングラス
脚本:ポールグリーングラス
撮影:バリー・アクロイド
編集クレアダグラス
リチャード・ピアソン
クリストファー・ラウズ
音楽: ジョン・パウエル

出演: ハリド・アブダラ ジアド・ジャラ
ポリー・アダムデボラ・ウェルシュ
オパル・アラディン シーシー・ライルズ
ルイス・アルサマリサイード・アルガムディ
デヴィッド・アラン・ブッシェ トッド・ビーマー
リチャード・ベキンスウィリアム・ジョゼフ・キャッシュマン
スターラ・ベンフォードワンダアニタグリーン
オマー・バーデゥニ アフメド・アルハズナウィ
スーザン・ブロンマート ジェーン・フォルガー
レイ・チャールソン ジョゼフ・デル
クリスチャン・クレメンソントーマス・E・バーネットJR
ライザ・コロン・ザヤス ウォレスカマルティネス
ゲイリー・コモック リロイ・ホーマー
ローナ・ダラス リンダ・グロンランド
デニー・ディロンコリーン・フレイザー
トリエスト・デュンディオラ・フランシス・ボドリー
トリッシュ・ゲイツサンドラブラッドショー
ケイト・ジェニングス・グラント ローレン・カツゥーチ・グランドコラス
ジェイミー・ハーディング アフメド・アルナミ
ピーター・ハーマン ジェレミー・グリック
タラ・ヒューゴクリスティン・ホワイトグールド
マルセリーヌ・ヒューゴ ジョジーン・ローズ・コリガン
シェエン・ジャクソンマーク・ビンガム
ジョー・ジャムログ ジョン・タリナーニ
コーリイ・ジョンソン ルイス・J・ナックII世
J・J・ジョンソンジェイソン・M・ダール
マサト・カモ 久下季哉
ベッキーロンドン ジーン・ピーターソン
ピーターマリンカー アンドリュー・ガルシア
ジョディー・リン・マクリントックマリオン・R・プリトン
ナンシー・マクダニル ロレイン・G・ベイ
リビー・モリス ヒルダ・マーシン
トム・オルークドナルドピーターソン
サイモンポーランドアランアンソニー・ビーヴァン
デヴィッド・ラッシュドナルドフリーマングリーン
エリックレッドマンクリスチャンアダム
マイケル・J・レイノルズパトリック・ジョゼフ・ドリスコル
ジョン・ロスマンエドワード・P・フェルト
ダニエル・サウリ リチャード・ガダーニョ
レベッカスカルパトリシア・カッシング
クロー・シレーン オーナー・エリザベス・ワイニオ
ベン・スライニー ベン・スライニー
リヴィア・サールビー ニコール・キャロルミラー
チップ・ジエンマークローゼンバーグ
イ・ジンマーマンクリスティン・シュナイダー
パトリックセントエスプリ

2001年9月11日アメリカ国内の空港を飛び立った旅客機4機が、ほぼ同時にハイジャックされる。うち2機はワールドトレード・センターに、もう1機は国防総省ペンタゴンに激突炎上した。しかし残る1機、乗客40人を乗せたユナイテッド航空93便は、なぜかターゲットに到達することなく、ペンシルヴェニア州に墜落した。本作はこのユナイテッド航空93便に焦点を当て、家族との電話で自らの運命を悟った乗客たちが乗る機内での様子や、テロの事実に混乱しながらも被害を最小限に食い止めようと必死で事態の掌握に務める地上の航空関係者たちの緊迫のやり取りを極限の臨場感で描き出す衝撃のノンフィクションサスペンス。監督は「ブラディサンデー」「ボーン・スプレマシー」のポールグリーングラス。監督をはじめ製作スタッフは、遺された家族の人々や管制センターはじめ関係機関への入念な取材を行い、今となっては決して誰も知ることのできない機内の様子を含め、当時の状況を可能な限りリアルに再現、ありのままを徹底したドキュメンタリー・タッチの手法で撮り上げた。なお、本作に登場する管制官や軍関係者の一部は、9月11日に実際に現場で勤務していた本人が自ら演じているという。

以上が映画データベース記述なのだがここでの配役のクレジットの長さとその中には日頃見慣れるスターたちが見られないことともあわせて興味深いのだが、乗客の中に一瞬見られたアジア人らしき人物がこのクレジットを見て初めて日本人であったことが分ってもそれが別段どうだということでもない。 もうこの事件から7年経って未ださまざまな憶測が飛び交う中、当時メディアで入ってきた情報をここでほぼ事実に即した映画のドキュメント仕立てにして作るのではスターを配置すれば意図せずともアメリカ映画の性格上、ヒーロー、もしくはアンチヒーローものになってしまいがちになることからあえてこのような配役になったのだろうと忖度する。 普通の人の日常がたまたま行き会った惨劇なのだ。

人は周りのことを知りたいと思うしそう努めるのだがいくら現場の最先端にいたとしても全てがわかるわけでもないし、とくに不測の事態の真っ只中ではそれぞれが必死で事態を乗り越えることになり、お話ではなくそれがほぼそうであっただろうというような、それ以後世界をも変える行為の再現であるから世界規模での善悪のバイアスのかかりようが製作者の一番神経を使うところなのだろうが意味は後からついてくるのだし私がこの間みた、ニューヨークツインタワー管轄の消防署のその日のドキュメント9・11(2002)とあわせて淡々とその事態を映像にしようと試みる甚だ良質のドキュメントとなっている。

それはその後これを契機として大きく動く世界政治テロ宗教原理主義論争を排した生のものであることに意味があるのだろう。 ツインタワー内部での経験はともかく、時には我々が日常利用する航空機内部での不測の事態に乗り合わせたときに遭遇する映画は人事でもなく無理やりに自分の生死をも考えさせられてしまう。搭乗員、乗客のそれぞれの会話がまさに取り留めのない日常のものであることも我々をその開いた座席に座っているような気分にさせる。 何万分、いや百万分の一かもしれない確率のとくにハイジャック譚は一度見始めると最後まで見ないと納まらない気持ちにさせる。

けれど、娯楽映画に比べると結末がどうなるかという摑みはここでは既知の事実としてあるから娯楽映画「タイタニック」から砂糖細工を除いたものを見るように、瑣末の技術、時間の経過にしたがって様々なところで関わる人物、組織の動きを後付で見るところに重点がいくようでもあり、本作では時間の経過にそっての航空管制塔内部の瑣末な数字、部署の動き、軍の関与等の台詞などがここでは事実に則って発せられているものと解釈できその臨場感が重みをつける。 

自分がその場にいたとしてどう対応するか、機内で、管制塔で、軍司令部などの場で、、、、ということなのだが、7年経ってあらかた様子が分るものの管制塔内の混乱と事態の不確かな情報が錯綜する中、徐々に事態がおぼろげになってきても攻撃の規模が摑めない瞬間には、遠くの地では戦争をしているものの近代戦を自国内では経験していない中で突然湧いたその戦争の恐怖というものが混乱の中で押し寄せてきても不思議ではない。

自国でも多くの将兵の犠牲をだしているものの、中東の当該国でそれに100倍を上回るの犠牲者を直接、間接的に出させてその国に「進行(侵攻)」しているアメリカ内の戦争の図でもある。 「なぜ」ということが消防士ユナイテッド93便のドキュメント・映画を観ていて炙り出されるのはここでの収穫だろう。 それは単純、安直テロ反対談義を超えた地平まで我々の思いを届ける契機となるからでもあるし殺す方も殺される方もなまなかでないことを確認するすることが世界を席巻するパックスアメリカーナイスラム原理主義の二項対立のジレンマに風穴を開ける契機となるのかもしれない。

この最後の方からみ始めた家人が、もう飛行機には乗りたくなるわね、という感想にしても一時的なものでそのうち何事もなかったように機内食と映画を楽しみにいそいそと休暇先のことを想いながら乗るのはみえている。

しかしこの映画の重さは、あまりにも軽くあまりの馬鹿馬鹿しさゆえに私の好きなドタバタスラップスティック、 パロディー映画のうち、「ケンタッキーフライドムービー」で注目を集めた監督トリオ、ZAZの「フライングハイ (1980)、FLYING HIGH AIRPLANE!」でも中和できないようだ。 1980年代のハリウッドパニック映画と20年経ちフィクションのような出来事が起こったその事実の重みの前には我々は立ち尽くしこのスラップスティック映画に腹立たしさと膝が抜けるような空虚感さえ起こさせる本作である。

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