書籍:元刑事が教えるウソと心理の見抜き方

今日の紹介は、森透匡氏の著書です。


■元刑事が教えるウソと心理の見抜き方
■森 透匡（著）


元刑事で、現在全国を回る人気講師である森氏の著書になります。
森氏が刑事時代に培ったウソの見抜き方などのコミュニケーション術を事例を交えながらわかりやすく解説されています。
人事面接の場面、部下との面談の場面、営業の場面などでも使えるコミュニケーション術が学べます。
特に質問術の部分は目からウロコでした。
それでは特に参考になった話を紹介していきます。


●「言語」と「非言語」に不一致があった場合、「非言語」の方が正しいという判断になります。
著名なイギリスの動物行動学者デズモンドモリスは、「人間の動作で信用できる順番」の最後に「言語」を挙げています。
次に「顔の表情」だそうです。
人間はおかしくなくても笑ったりします。
つまり顔の表情で心理を誤魔化します。
ですから、採用面接で、ハキハキ答えてニコニコしている応募者を見て、「この子はいい！」と採用を決めると、間違いが起こりやすくなります。
飾れるところしか見ていないので、騙されてしまうのです。
つまり、人間の動作の中で自分はコントロールできない部分に注目すると本当の心理を読むことができるのです。
その最たる部分が自律神経信号であり、下肢、上肢と続きます。
人間が飾ることのできない無意識な部分には、心理を読むヒントが隠されています。
従って、刑事は捜査の現場で非言語コミュニケーションにも注目して、相手の心理を読みとるのです。
（P35～37　一部引用)
職務質問などの事例を用いて、非常にわかりやすく解説されています。
面接やデートの場面などでは、自律神経信号、肢の向きには注意したいですね。
じろじろ見るのは危険ですので、さりげなくですね。

●強力な質問法
ウソを見抜く強力な質問法として「可能性質問」という質問法があります。
これは「犯人であれば、あり得る可能性」について突っついて聞くというものです。
可能性質問のいいのは、実はこれって、疑っていないのです。
相手の心に聞いているだけで、疑っていません。
「・・・・・・の可能性はありますか？」と尋ねているだけですから、つまり可能性がある人だけが反応です。
また、可能性質問をもっと効果的に使う方法があります。
質問の前に効果を高めるための「前ふり」を入れるのです。
例えばこんな感じです。
「うちの会社では、こんな泥棒事件は絶対になくしたいと思っています。
社員もパートも不安を感じているし、泥棒のいる会社なんて信用問題にかかわります。
だから今回は徹底的に調べました。
全社員から話を聞きました。
ぶっちゃけいろいろな情報が集まってきました。
ところで、あなたがロッカーから現金を盗むのを見た人がいる可能性はありますか？」
犯人は「そこまで言うということは、目撃者がいたのかな？」と思いはじめます。
つまり「前ふり」を入れることで、信ぴょう性を高める効果があるのです。
（P74～75　引用)
昔、サボって誤魔化していた部下を追求するとき、この質問を使えばよかったかなと思います。
当時はパワハラ系だったので、ガンガン突っ込んで、「あの人は疑ってばかり」と部下からかなり反感を持たれました。

●お客様は商談していると、「未来に向けた質問」をしてくることがあります。
買おうとしている商品やサービスではなく、未来の質問です。
このときがクロージングのチャンスです。
刑事時代にも「未来の質問」をされることがありました。
特に初犯の犯人の取り調べをしているときに多かったと思います。
「これから仮に裁判になったら、どんな手続きで進みますか？」
「拘置所って、どのくらいいるものですか？」
「刑務所では、手紙って書けるのですか？」
このような、自分の未来を気にするような質問は、「落ちる」サインなのです。
もう認めようかという心境の表れを示しています。
これは商談でも同じです。
人間は未来を想像すると、当然ながら現時点より未来の疑問について質問をしてきます。
また態度にも変化が表れます。
つまり、お客様が未来に関する質問をしてきたときが、クロージングのタイミングなのです。
（P153～154　引用)
本書にも書いてありますが、価格や支払い方法について、相手が質問してきたときは、購入の意思があるとき。
未来に関する質問は見逃さないようにしましょう♪