コテージにて(1)

まだ、出社には早い時間だった。一面ガラス張りの窓からは、昇ったばかりの太陽が輝き、朝日を降り注いでいる。

そこは、◯◯製薬のトレーニングルームだ。様々なトレーニング器具が立ち並び、時間によっては多くの人間が利用する。

しかし、時間が早すぎる為か、今はセイジ一人だった。

窓辺のマシンに腰をかけ、太ももを虐めるかの様に力を入れる。釣り下がった重りがゆっくりと上がって、ゆっくりと下がってを繰り返している。

「あ、いたいた。セイジさん、おはようございます」

トレーニングウェアに身を包んだ男は、セイジの隣のマシンに腰をかける。二十代前半で、爽やかな雰囲気のある男だった。

「これはこれは、敏腕営業のタガミ君じゃないですか」

男の顔も確認せずに、セイジはトレーニングを続けていく。

「前の依頼、調査出来ましたよ。複数の調剤薬局にかかりつけてたので、時間がかかりました」

タガミはセイジにクリアファイルを手渡すと、自らも筋トレを始める。

「複数の調剤薬局に？なんでまた？」

当然の疑問を口にするが、タガミは見ればわかると返す。

クリアファイルの中の書類を一枚一枚確認していく。

立ち並ぶピル、アフターピルの文字が目に飛び込んでくる。

セイジは笑い声を上げた。

「タガミ君、今度の連休暇かい？僕の別荘でパーティなんて如何かな？」

タガミが顔を除くと、セイジは邪な笑みを浮かべていた。

「楽しいパーティなら、是非、参加させていたきたいですねぇ」

セイジの顔真似でもする様に、タガミも邪な笑みを浮かべた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
というわけで新章スタート！！