ネットの心温まる話:子供の見た世界

退社して家に帰ると、息子がTVのアニメ番組に熱中していた。
“今日、幼稚園どうだった?”と聞くと、息子は、
“うん、人形劇見てきたよ”と言って、カバンの中から人形劇のパンフレットを出して見せてくれた。
‘こぶ取り爺さん’の話だった。時代に合わせて、内容が少し変わっていた。
こぶ取り爺さんが座って歌を歌っていると、片方のこぶから突然、鬼が現れた。願い事は何かという問いに、お爺さんは“こぶを無くしてほしい”と答えた。しかし、鬼がいくら金棒を振っても、失敗ばかりして、こぶは無くならなかった。仕方なく他の鬼を呼び、お爺さんのこぶを取り除き、お爺さんが幸せに暮らせるようにと、金貨を与えた。しかし、お爺さんは頻繁に自分の家に訪ねてくる鬼を怖く、厄介に思い、鬼が嫌がるものを道に撒き、結局、鬼たちは逃げ帰ってしまういう内容だった。
ところが、突然息子が立ち上がり、興奮した声で叫んだ。
“お母さん! 鬼さんがお爺さんに仲良くしようって金貨をくれたのに、何でお爺さんは鬼さんを嫌って、玉ねぎやネギを道に撒いたの!いけないんだよね。そうでしょ?”
その瞬間、息子の興奮した表情と真剣なしゃべりに笑いをこらえざるを得なかった。しかし、息子の寝顔を見ながら、たくさんのことを考えた。そうか、疑うことの無かった童話の結末が、弱くて純粋な子供たちには異なって見えるんだ。人間の立場でだけ文字を読むと、大きな贈り物をくれた鬼を怖いと追いやり、豪快に笑う人間。6歳になる息子は、その小さくて弱い鬼の心を推し量っていた。

…優しい子だなぁ