成程～話:あなたの話を聞いていますよ

話し方研究所の福田健氏の心に響く言葉より

聞くのは黙ることではない。
話すことである。
ところが、未だに<黙って聞いていればよい>と思っている人がいて、<話すより聞くほうがラク>と、心のどこかで呟いている。
[黙って聞いているだけ]では聞くうちに入らない。
聞くのにも話し手という相手が目前に存在しているのだ。
聞き手に黙っていられると話し手はどんな気持になるだろう。
[そうそう、そういうことってあるんだよね][あ、それ、私も見た!近頃よくやってるCMでしょ]等と言葉を返してくれるとホッとして、次が話し易くなる。
聞くとは返すことである。
話し手としては反応が返ってくるから手応えを感じ、次の言葉が浮かんでくるのである。
聞き手の役割は話し手が話し易いように聞いて、話を促すことである。
ある課長は、部下の話を聞くのに目をつむり、腕を組んで聞く癖があった。
[その方が話に集中して聞けるものですからね]彼はこのように言うのだが、<話し難くて困る>というのが部下の本音である。
何度か通って、やっと新規の契約がとれて喜び勇んで報告に行くと、課長は相変わらず、腕組みをして目を閉じたまま…
[ほめられるとばかり思っていたのに、張り合いをなくしますよね]
上司も部下も恋人同士も、聞き手になったら[笑ったり][頷いたり][ちょっと楯突いたり]等して話し手に関わっていく。
ある知人の娘さんから、会社説明会に参加する時の[話の聞き方]について教えてほしいと言われた。
そこで、[難しいことなんか何もないよ。三つだけ実行すれば、それで充分]と答えた。
明るい表情をつくること。
要所要所で頷くこと。
大切だと思った箇所はメモをとること。
この三つ。
1週間後、その彼女から電話を貰った。
[説明会が終わって、帰りがけに説明をしてくれた人事課長に呼び止められ、『熱心に聞いてくれてありがとう。わが社の試験はぜひ受けて下さいね』と言われました。吃驚しました]いかにも嬉しそうな声だった。
大勢の無表情の学生達の中で、明るくにこやかな表情で頷きながら時折メモをとって聞く彼女の姿が人事課長の目にとまったのだ。
聞くという行為は、[貴方の話を聞いていますよ]との発信なのだ。

『人生は[聞く力]で9割変わる』経済界新書


話し易い人と話し難い人がいる。話し難い人は腕や足を組んだり相槌や頷きがなく、無表情で反応がない人。
反対に、話をしている途中にメモ等取ってくれたりしたら、飛び上がりたくなる程嬉しい。
頷き、相槌、笑顔、驚きの表情…貴方の話を聞いていますよというサインを出し続けたい