成程話:実力を支えるのはレッスン

郷ひろみ氏の心に響く言葉より

プロの歌手になって40年が過ぎました。
大変な世界の中で何とかやってきたわけですが、多くの人は僕のことを[郷さんは変わらないですね]と言う。
でも、そんなことはない。
何といっても、僕が仕事をしている世界は日々変わらなければ生き残れない所なのだから。
大衆が求めているエンタテイメントの内容だって変化してきています。
時代環境の中で歌手もかわらざるをえないのです。
変化についていけなかったら[過去の人]になってしまう。
だから、僕は必死にもがいて方向性を求め、どんな歌でも歌えるようレッスンを繰り返す。
僕は美空ひばりさんとご一緒させて頂いたことがありますが、[うまい]というレベルを超えていました。
あの人こそ天性の歌手で100年に1人の才能でした。
それくらい実力のある人でもレッスンは欠かさなかった。
実力を支えるのはレッスンです。
そしてナポレオン・ヒルが書いた『成功哲学』にあるように[これでいいと思った瞬間に成功は止まる]のです。
美空ひばりさんを見ていて益々自分もレッスンしなきゃいけないという気になりました。
ただ、こんな話はあまりテレビじゃやらないようにしているんですよ。
僕らの仕事は練習を重ねている所をあまり積極的にアピールすればいいわけではない。
シンクロナイズスイミングと同じで、お客様には水面上の表現行為だけを見て頂けたらそれでいいんです。
水面下で手と足をバタつかせているところを見せなくてもいいと思うんです。

『経営者はアイドルでなくてはならない』(岡正人)プレジデント社


芸能界の生き残りも大変だと思うけど、実業の世界でもそれは同じ。現代は新設法人の約9割が創業後3年以内に倒産する時代だからです。しかも、日本の法人の7割は17年間も連続して赤字という状態。企業も芸能人も時代の変化に対応して変わらなければ生き残れない。
生き残るにはたゆまざる勉強や研究、そして必死のレッスンしかない。[実力を支えるのはレッスン]
水面下で密かに、本気の努力をしてみたいね