デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

【魔法少女っ】25-3、復讐と購いと虚しさ

2011年08月14日 04:37

高瀬家。
親戚達が法事の後のオトギ(飲んで食って騒いで)を終えて帰るなりなんなりした応接間を片付け終えて、ほっとため息をつく春夏。
ぬいぐるみ?」
応接間の机上にあるモノを見て春夏はキョトンとする。
「ぴよぴよ」
視聴者的には、それはアドルフさんだ。気ままに飛び回って、今日はここに落ち着いたらしい。
だが春夏からしちゃあ、変なぬいぐるみでしかない。
「かわいいわね。茜ちゃんが集めてるぬいぐるみかしら」
春夏は小春から最近茜がぬいぐるみ集めに凝りだした、という話を聞いていた。
実際はネガイナー撃退と願いのチカラ回収の副次なのだが。
「ぴよぴ~よ」
アドルフが何を言おうとも、春夏にはぬいぐるみの凝った音声機能にしか認識できない。
「まぁ、いいわ。ぬいぐるみでも話せば気楽になるもの……」
春夏は二年前の事故とその前後の経緯を語った。
「ぴよ~」
春夏はぬいぐるみがその話しすべてを承った錯覚を感じていた。
実際、アドルフは承っていた。そして同情の声をあげたのだ。
「よりによって羽前の人間と小春が友達になってたなんて、許せないわ」
「ぴよっぴよっ」
アドルフには同情すべき事情だった。
「わたしは羽前の人間が全員許せないわ。できればせん滅させたいところよ」
「ぴよぴ~」
だが、アドルフはこれまでの態度を一転させてきた。
「ぴよっぴよっぴよぴよ!」
反発とも取れる態度。しかしアドルフが何を言っても春夏にはぴよぴよにしか聞こえない。
「ん~?アドルフさんだ~」
小春が母とアドルフを見つけて近付いた。
「茜ちゃんのぬいぐるみ?」
「ん。そうだよ。置場所に困ってて、一部預かってるんだ」
小春は気転を利かせてそう答え、
春夏は小春にアドルフを渡す。
「最近のぬいぐるみは凝ってるのね?なんだか話しにうなづいたり、反発して説教するみたいに」
説教の内容はともかく、説教された事は感じてたようだ。
「ところで母さん、これなんだけど……」
千歳から渡された志を示す。
小春、あなたが預かっておきなさい。示談が完了した今、わたしの立場ではその封筒は受け取れないの。中身のお金はともかくね」
お金を取り出すには封筒を破らねばならない。それさえも春夏の立場ではできないと告げた。
小春の言い分も一理あるしね。それは小春が預かって、いつか困った時に人知れず破って使いなさい。母さん的にはなかったことになるから」
「わかった」
多分、相当困らないと使わない、と小春は思った。

「復讐なんて、叶えても虚しいもんだぞ」
アドルフは小春の部屋の机上でメモ紙にそう書いた。
ドイツ語で。

続く!

このデジログへのコメント

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

たかふみ25

  • メールを送信する

たかふみ25さんの最近のデジログ

<2011年08月>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31