【感銘】人間失格

「あなたは、ずいぶん苦労して育って来たみたいな人ね。
　よく気がきくわ。可哀そうに」


恥の多い生涯を送ってきました、人として失格の判定を自らに下す男。
しかし、男が不在になると、ある女性はこう語るのだ。
「とても素直で、よく気がきいて…神様みたいないい子でした」と。

文頭の言葉は、ある女性がその男の「気がきく」事についての言葉。
「気がきく｣という事は、苦労したから得たものだ、
そしてそれを可哀そうだと憂いを抱いて言ったのだ。

私はその「気がきく」についての表現に驚嘆した。
そして女性がその男の身近な所作に気付いていたのだと、
その優しい一言に感動した。

こんな言葉をかけてあげられる人間に、私はなりたい。