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ぼくがいるよ

2014年02月23日 10:44

NPO法人日本語検定委員会主催の第5回「日本語大賞」
小学生の部で文部科学大臣賞を受賞した小学校4年生、森田悠生さん(千葉県)の作文を紹介します。

【ぼくがいるよ】

お母さんが帰ってくる!
一ヶ月近く入院生活を送っていたお母さんが戻ってくる。
お母さんが退院する日、ぼくは友だちと遊ぶ約束もせず、寄り道もしないでいちもくさんに帰宅した。
久しぶりに会うお母さんとたくさん話がしたかった。
話したいことはたくさんあるんだ。
帰宅すると、台所から香ばしいにおいがしてきた。
ぼくの大好きホットケーキはちみつがけだ。
台所にはお母さんが立っていた。
少しやせたようだけど、思っていたよりも元気そうでぼくはとりあえず安心した。
「おかえり」いつものお母さんの声がその日だけは特別に聞こえた。
そして、はちみつがたっぷりかかったホットケーキがとてもおいしかった。
お母さんが入院する前と同じ日常がぼくの家庭にもどってきた。
お母さんの様子が以前とちがうことに気が付いたのはそれから数日経ってからのことだ。
みそ汁の味が急にこくなったり、そうではなかったりしたのでぼくは何気なく「なんだか最近、みそ汁の味がヘン」と言ってしまった。
すると、お母さんはとても困った顔をした。
「実はね、手術をしてから味と匂いが全くないの。だから、料理の味付けがてきとうになっちゃって・・・」
お母さんは深いため息をついた。
そう言われてみると最近のお母さんはあまり食事をしなくなった。
作るおかずも特別な味付けが必要ないものばかりだ。
しだいにお母さんの手作り料理が姿を消していった。
かわりに近くのスーパーのお惣菜が食卓に並ぶようになった。
そんな状況を見てぼくは一つの提案を思いついた。
ぼくは料理が出来ないけれどお母さんの味は覚えている。
だから、料理はお母さんがして味付けはぼくがする。
共同で料理を作ることを思いついた。
「ぼくが味付けをするから、一緒に料理を作ろうよ」
ぼくからの提案にお母さんは少しおどろいていたけど、すぐに賛成してくれた。
「では、ぶりの照り焼きに挑戦してみようか」お母さんが言った。
ぶりの照り焼きは家族の好物だ。
フライパンで皮がパリッとするまでぶりを焼く。
その後、レシピ通りに作ったタレを混ぜる。
そこまではお母さんの仕事。
タレを煮詰めて家族が好きな味に仕上げるのがぼくの仕事。
だいぶ照りが出てきたところでタレの味を確かめる。
「いつもの味だ」
ぼくがそう言うと久しぶりにお母さんに笑顔が戻った。
その日からお母さんとぼくの共同作業が始まった。
お父さんも時々加わった。
ぼくは朝、一時間早起きをして一緒に食事を作るようになった。
お母さんは家族をあまり頼りにしないで一人でなんでもやってしまう。
でもね、お母さん、ぼくがいるよ。
ぼくはお母さんが思っているよりもずっとしっかりしている。
だから、ぼくにもっと頼ってもいいよ。
ぼくがいるよ。
いつか、お母さんの病気が治ることを祈りながら心の中でそうくり返した。

日本語検定様のホームページより


同じような状況になったとき、果たして自分は出来るかな。
又、美味しい料理を食べさせてあげたいと願う母の気持ちをこれほどまでに理解し行動出来るかな。
私はまだまだ未熟だと痛感しました
自然に、当たり前に、人の気持ちを察する言葉や行動ができる人で在りたいです。

このウラログへのコメント

  • ☆Fight☆ 2014年02月23日 11:14

    家族の絆・思いやりを感じました

    「絆」「思いやり」って簡単な言葉ではないけれど
    やはり良い言葉です

  • なな♪ 2014年02月23日 11:23

    ☆Fight☆さん:いいですよねほっとします

  • SYUZO- 2014年02月23日 12:03

    4年生でそれを思いつき
    提案して実行できた
    と言うのはすごいことですよね

    甥っ子・・・・・・

  • なな♪ 2014年02月23日 22:46

    SYUZO-さん:本当に凄いです。私にもできたかどうか

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