【魔法少女っ】59-5、実は考え無しです。

「……なんという破壊力」
小春はぶっ飛ばされていた。有希は息を飲む。
「……ハーモニーブラストと同等の威力」
それを普通のネガイナーが発揮したのか。
有希がこれまで見てきた経験でもそういうのはなかった。
強敵なネガイナーは何らかの異常があったのだ。
メカネガイナーは機械的な存在だったし、チャウシェシュクのハイスペックネガイナーはカードの鍛え方が違ってたし、人間を素体にしたネガイナーは強力だったし。
今回はそういうのがない、普通のネガイナーなはずだ。
「特に考えはないです」
と、カシワドは答えた。
ズコー。
たまたまらしい。
「はっははっは！ラッキーだっ」
腰に手をあて誇るネガイナー。

「助けに来ましたわ」
「……遅い」
千歳が駆けつけると、有希は傷付いた小春を引き渡す。
「小春っ！すぐに治しますわ。わたくしに任せろですわっ」
「ネガイナー。あとは任せた」
立ち去るカシワド。
「待ちやがれですっ」
敵の意図は不明だ。
「はっははっは！次はお前だ！発破！」
ちゅどーん
「くっ」
きわどくかわす茜。

「……やはい」
有希はポケットにあるラウンドドライバに手をかけた。しかし、ここで変身するのにためらいがあった。
「もう！誰でも良いから駆けつけやがれですっ！」
半ばやけくそな茜。
敵の懐に飛び込み。腹パンチ！
「おわ～」
ぶっ飛ぶネガイナー。マイクロバスの上に着地する。
「やんなるくらい健康だっ」
また腰に手を当てた勝ち誇りポーズ！
「遅れたクポー！」
クポーがオールコットを抱えて来た。
「存外強敵ですっ！フォームチェンジお願いしますっ」
「わかったクポー！……開花っ！」
オールコットに願いの欠片を入れて、光りのハンドルをぐるぐる回すクポー。

ビーイングリインカーネーション！茜の衣装が紅いドレス状に変化する。

「あかね色に燃える文学少女っ！カーマイン・ジョセフィンシルエット！」

「シャルウィダンス？」
手を差し出すネガイナー。
「釣り合う衣装でお願いするですっ！」
どしゅっ
挨拶がわりのカーマインクリムゾンを放つ。
「うぎゃー」
ネガイナーの股間を隠す葉っぱが燃えた。
「きゃああきゃああ！」
目を逸らす女子一同！
茜は除いて。

「ちんまいですっ」
どしゅっどしゅっどしゅっ！
火球を次々とぶつける茜。
「葉っぱがなけりゃなんにもなーい」
打たれ弱いネガイナーだった。

「シンフォニースォード！ジョセフィン・ヒーリングショコラティエ！！」
美味しそうな名前の斬撃を加える。
「やった～！」
やられたのにこの台詞。
しゅううう～！
「クポクポー？何故か大漁クポー！」
たくさんの願いの欠片を得て生き埋め状態のクポー。
人間体になって窒息の危機を脱した。

「……本当に考えなしか？」
有希は空を仰いで誰も答えない疑問を呟いた。


続く！