- 名前
- banana_record
- 性別
- ♂
- 年齢
- 51歳
- 住所
- 神奈川
- 自己紹介
- 人の話を聞く選手権県大会3位の実力です。聞こうじゃないですか。
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恋のマジックアイ
2006年10月21日 23:32
ある猛禽類は人間の8倍もの視力を持っている。
トカゲの仲間の頭に第3の目があることは余り知られていない。
ホタテには目があるそうだ。それも100個。
そんな訳で目にまつわる話。
朝、風呂に入ったあと、急いでいるということもあって普段は使わないドライヤーで頭を乾かしていた。その時何かのはずみで手をすべらせ、ドライヤーの吹出口が右の眼球に当たった。ひどい激痛が走った。しばらく目を押さえてうずくまっていたが、一向に痛みが引かないので恐る恐る鏡で見てみると、黒目の一部が白く変色していた。その範囲はほんの3个らいに過ぎないのだけど、場所が場所だけに僕はちょっとしたパニックに陥った。
眼科の医師は女医だった。彼女が若ければいろんな展開を想像して少しは気分を紛らわすことも出来たかもしれないけど、残念ながら若くはなかった。だから僕の頭の中では、自分の目に対する様々な不安が際限なく浮かんでは消えていった。「眼球の傷って消えるのかな」。「どうやって直すんだろう」。「失明なんてことないよな」。「この先生の口すごいな」。女医は、何もそんなに近づけなくても、というくらい顔を近づけ、しばらく僕の目にペンライトを当てて見ていた。鼻息が頬に当たった。「ヤケドですね」と彼女は事務的に言った。「198円です」とコンビニの店員が言うのと同じくらいに事務的だった。そのあと患部に薬を塗られた。つまり右の眼球にだ。「ときどき薬を塗っておいてください」と彼女はこともなげに言った。今度は「土の表面が乾いたら水を与えてください」と言う花屋みたいだった。「一週間もすれば傷はきれいに消えます」と女医。「来月にはきれいな花が咲きます」と花屋。
家に帰って、さっそく薬を塗ってみた。僕にとってはとても緊張する行為だ。なにしろ眼球に意識的に触れるなんて未体験のことだ。視力は随分前から悪いのだけど、コンタクトレンズだってしたことがない。何が怖いかって、こっちに迫ってくる指先が怖い。でもだからと言って、それを見ない訳にはいかないし。ちゃんと塗るのに15分掛かった。
Sell Out/The Who
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