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【魔法少女っ】22-1、3:4【モルツ】

2011年07月20日 21:33

「時は満ちた。さあ、変身して俺と闘え、清澄茜!」
アドルフは左手キャンバスを抱えていた。
それは例の絵であると想像に難しくなかったが、実際にそうだった。
「いやです~」
茜はアドルフの申し出を断った。
恐らくは初恋の相手であろうアドルフと、闘いたくはなかった。
「そういうかと思ったぞ。だが、こちらにも事情があって、もう引けないのだ」
アドルフは一枚の黒いカードを出して言った。


「奴はもはやバビロニアの者ではないのだ」
校門前。サダムは攻撃を仕掛けるでなく、淡々と語り始めた。
「……事情があるようね。聞くよ」
小春も真摯に語りに応じる事にした。
「実はアドルフの軍団で内乱があってな。今や事実上のリーダーは副将軍のムッツリーニになってしまったのだ。クーデターの際、ムッツリーニはアドルフの手札(デッキ)を巻き上げ、アドルフの残り札は僅かになったのだ」
「だから最近、アドルフさんは出てこなかったわけだね」
「ご明答。だが、遂に奴は辞表を提出した。その意味するところはわかるかな?」
クイズ形式でサダムは尋ねた。多分、小春はどんな答えを出しても正解にはたどり着かないだろう。
将軍をやめたんだよね」
「いや、軍人を、バビロニア軍を辞めたのだ。そして、バビロニアにはとある規則がある」
軍人自ら辞めたら死ぬ、とか」
「惜しいが、方向性は同じだ。辞表受理の瞬間に、死よりも苦しい運命が奴に下される。その前に、奴にはひとつの願いがあるのだ」
そっか、と寂しい顔をしながら、小春は話しを続ける。
「願い、とは?」
魔法騎士カーマインと一騎討ちの勝負をしたいらしい」
わからぬ、という顔をしてサダムは語る。
「だから、あたしに茜の加勢させないために、今オッサンはここにいるわけだ。いいところあるじゃんオッサン
「卑怯将軍と呼ばれている儂だが、奴との付き合いは短くはなかったでな。ま、逝く者へのはなむけみたいなもんだ」
さて、そろそろ始めるか、という意思を右腕のバルカン砲で示す。
「時間稼ぎなら、無理に闘わんでも……」

一方その頃。
「出てきて~、ネガイナー!」
アイロンアイロン!」
トータク将軍は容赦なく手札を切ってきた。
召喚されたのは、家庭用スチームアイロンに手足の生えた怪物だった。
「くっ」
ものすごい熱を発する怪物を見て、千歳はたじろぐ。
「時間稼ぎなんて面倒よ。殺すつもりでかかれば時間なんて稼げるっしょ」
「…………」
アイロンアイロンアイロン!」
「さっさかと、おった押しますわ」

「さあ、変身するがいい!」

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