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贋作春画家のエロティシズムとナルティシズム

2005年11月14日 21:58

贋作春画家のエロティシズムとナルティシズム

文京区千駄木、団子坂
品川二郎森鴎外が住んでいた事で有名です

そして、明智小五郎デビューが飾られた

「D坂の殺人事件

D坂はかつて江戸川乱歩自身も住んでいました

ノスタルジック雰囲気漂う昭和初期、D坂にある古本屋「粋古堂」女将、須永時子が殺され、第一発見者であった従業員斉藤に容疑がかかります
しかし、伝説の責め絵師大江春泥の贋作が粋古堂で発見され予備判事天才贋作家と言われている蕗屋清一郎(真田広之)に疑いを抱きます
そして、容疑者二人に心理実験を行いますが、結果は明らかに斉藤犯人で蕗屋は無実である事を示しました
予備判事の友人である明智小五郎嶋田久作)は蕗屋こそが犯人だと断言しますが・・・

この作品は犯人も手口も最初から解ります
蕗屋が犯人です。ハイ・・・

なにがヨイかって全体から醸し出されるノスタルジックさと、妖しいエロティシズムがプンプンに匂いだってくるのを感じるんですよ!
蕗屋は責め絵の贋作を作る生業に携わっているわけです
責め絵ってのは、私も詳しくは知らないんですけれど、女性を色んな体の部位が擦れるように巧妙に縛り、身動きとろうもんなら縄が擦れて官能的刺激が味わえる
そんな女の姿を芸術的に描いたのが責め絵って言うらしいです
この作品の中に描いている風景、絵が実際に出てきますので観れば一目瞭然です

SM好きの蕎麦屋だの、緊縛シーンの数々がふんだんに出てくるのですが、私は、縛られた女よりも、真田広之が一番ヤバカッタです!!
女将、須永時子に頼まれて大江春泥の贋作を作成するんです
時子は責め絵のモデルまで手配してくれて・・・
でも、なかなか描けない!!
何故描けない??

モデル契約期間も迫ってきて、描けないままモデルに迫られる蕗屋・・・
真田の口がモデルの口紅で真っ赤に染まる程誘惑されますが、そんな事はどうでもいい
まったく目に入らない蕗屋・・・
モデルがそっぽ向いて帰ってしまった後、モデルの口紅で染まった顔を鏡でまじまじと見つめる蕗屋
「自分のがモデルに向いているのでは??」
そう思ったのか、化粧をし着物を纏い、自分を縄で縛り、そして絵を完成させてしまうのです
自身も出来上がりには大満足(*^^*)

なんて書けばよいか・・・
改めて真田広之が美丈夫だと言う事を思い知らされましたネ・・・
男性だから完璧に「女性」にはなれないんですけれど、だからこそ女性にはない奇妙な色気が漂っているんですよ

これはヒク人はヒクと思いますけれど、とりあえずぶっ飛ぶ事は間違いナイです(笑)

そして、絵を女将の所に持って行くんです
で、そこで、女将が昔、大江春泥の責め絵モデルをやっている事を知るんです

大江春泥のモデルが目の前の女将!
彼にとってみれば、それは許しがたい事だったんですよ
大江春泥の絵に、自分より美しいモデルが存在する事は絶対にあっちゃいけないんです!
彼にとってみれば・・・(苦笑)
「美」を追求する者にとってこれは耐え難い事なんでしょうねぇ

私もなんとなく分ります・・・(苦笑)
同じような「美」や「スタイル」を追求している人を見ると共感するか、許せないか、どっちかの感情がふっと涌いてきますから
蕗屋の気持ちは「嫉妬心」に似てはいるけれど遥かにそれ以上でしょう

そして3日後に女将殺しちゃうんですねぇ~

容姿無頓着明智小五郎は何故に蕗屋が女将を殺したのか、動機までは解らないんです
でもね、助手小林少年には解るんですよ!
「僕には犯人の気持ちが解るような気がします」
ラスト、これもかなりショッキングです!!

とてもナルシストだけれど、真田広之にはぴったりです
あれだけの演技雰囲気で魅せられる彼だからこその適役だと思いました

先日書いた「花と蛇」より断然良く出来た、妖しいエロティシズムを秘めた作品です

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