日常化 １

ハプニングバー。

ネット上の噂は過激なものが多かった。
ブームの頃１回だけ、好奇心から夫婦で行ってみようとしたが、入口まで来て怖じ気づいて帰ったこともある。

数年を経て、また夫婦でこんなカタチで来ることになるとは…。少し感慨深かった。

店はオートロックのビルにあった。事前に電話して聞いてあった部屋番号を押し、応答を待つ。
すぐに返答があり、ドアは解錠される。

ワンフロアに１店舗。
迷う余地なくインターホンを押す。
男性スタッフが迎え入れてくれ、会員登録をする。その辺りはカップル喫茶と同様だ。

身分証明後、その男性スタッフに各部屋を案内される。

まずはバースペース。

廊下を経てカーテンで仕切られたカップルスペース。
マジックミラー付きのフリースペース。

そしてロッカールーム。

ロッカーの鍵を貰って荷物を置いたり、コスプレをしたりする。

カップル喫茶とほとんど変わらない。

それよりも気さくでアットホームな雰囲気だ。

やはり最初は特にハプニングも無く、バーでお酒を飲んだり、二人でプレイを楽しんだりして帰った。

カップル喫茶と違う点はひとつ。
単独男性、単独女性が居ること。

単独男性はカップルや単独女性から声がかかればプレイに参加出来る。

だから人気のある単独男性は皆マメでよく気が付き優しかった。

そしてなにかしらの特技があったりする。
マッサージが得意な人や縄師と呼ばれる縄での緊縛が得意でそれを極めてる人。

店には縄が何種類も置かれている。

拘束器具も色々あった。

ダーツをしてその勝敗でバツゲームとして繋がれたりもした。

皆、百戦錬磨なので、武勇伝を聞くだけでも楽しかった。

その雰囲気が好きで通ううち、顔見知りも増えた。

気の合うカップルや単独男性、時には単独女性も交えてフリールームを利用するようにもなった。

もう、私は女性とのセックスも出来る様になった。

女性に触れるのは以前からしていたが指マンやクンニが出来るようになったのはこの店で、だった。

居心地が良かった。
家の様にリラックス出来る。もう異常な世界では無かった。
趣味を共有する仲間たちと過ごす異質な時間。

でも、その安住の地は、突然奪われることとなった。