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短編小説・・・14

2009年04月29日 18:32

よく見ると華奢な体つきだ。後ろから見たら女性・・と言われてもわからないだろう。
ちょうど夜遅くまでやっている喫茶店があったので、まずそこで話を聞くことにした。
最初は世間話程度に、「お店の雰囲気はどう?」とか「儲かってる?」とか「どんなお客さんが多いの?」とか。
そこから一気に核心をついた話にもっていく。
岡部さんは知ってるね?お店ではチュウさんって呼ばれていたみたいだけど。」
「はい知ってます。あの人は私と同じような感じがしたから、よく覚えています。きっと心の奥の闇に悩んでいるんだろうなあ・・って。」
「そのチュウさんが亡くなったのは知ってる?」
一瞬間があったが、首がうなずいた。
「その日、君は何をしていたのかな?」
そうすると一緒にいたことをあっさり認めた。
「チュウさんが私が休みだということを知っていて、飲みに行こう!と誘われました。あの頃のチュウさんはひどく落ち込んでいて、それがいつも一緒に来る女性のことじゃないか・・そう感じていました。いつも一緒にくるはずの女性が一緒に来なくなったからです。
チュウさん、きっとあの人が好きだったのだろうと思い、せめて見た目だけでも似せて慰めてあげよう・・そう思い彼と会いました。」
「二人でどんな話をしたんだい?」
「チュウさんは自分の事は話したがらなかった。だから私の事ばかり。子供の頃から女性っぽくて、悩んでいたこと。就職しても周りの目がそんな風に思えてきて、神経が病んでいったこと。それによって病院に通うようになったこと。
そんな事をいつものように聞いてくれた。私もお酒飲まないと話せないような事を話していたから随分酔ったみたいで。それはチュウさんも同じで、酔いを醒まそうと二人で公園の方へ歩いていった・・」

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