短編小説・・・・５

同僚からも色々話を聞いてる途中に、署から電話が入った。
「ナイフから指紋が検出された。」
「それでマエはあったんですか？」
「それが不思議なことに検出された指紋はガイシャのものだった。しかも柄の所だ。」
俺は考えた。あの死に顔に指紋検出。まさか自殺？
同僚からもとても人に恨まれるような性格ではなさそうだ。
福永が家族と連絡が取れたと戻ってきた。
「どうだった？」
「それがですね、電話口から悲しみを感じないんですよ。落ち着いた・・何か陰気くさい感じでしたね。これから署に来られるそうです。小金井ですから我々が着く頃にはもう来てるでしょう。」
我々は銀行を後にして、署に戻ることとした。
奥さんはもう到着していて死体検分も済んでいたいたようだ。
福永も言ってた通り、涙を流した様子も無い。
「このたびはご愁傷様でした。こんな時に不躾な質問ですが、ご主人が人に恨まれるような覚えはありますか？」
「私とあの人は夫婦であって夫婦でないようなものでした。特に用事が無い限り話もせず、あの人はパソコンに向かったきり。」
「何か手がかりになるようなものがないか、後日お邪魔します。奥様も何か気が付いたことがありましたらご連絡下さい。
それからもうお聞きだと思いますが、事件性がありますので司法解剖をさせていただきます。」