- 名前
- ヴォーゲル
- 性別
- ♂
- 年齢
- 73歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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電車の家族
2009年01月19日 13:31
ハーグ発アムステルダム中央駅行きのインターシティーに日曜の午後7時に乗った。
いつものとおり食後のコーヒーを手に二階建て列車の階段を登り一番初めのシートに座ったら通路を隔てて反対側の四人席に小さい子供連れの家族がいて大層大きな荷物をそばに置いている。 男の子は4つをまわったろうか、上の女の子は3つほど、下の女の子は2つといったところか。 子供はいつまでたっても大変だがこの頃、4,3,2とは考えただけでため息が出る。 父親は居眠をしており長男も向かいで居眠っているのだがお姫様方は甚だ元気で飛び跳ね通路に行かんばかりだが母親はイタリア語で子供達をあやしながら童謡か民謡のようなものを子供達に歌い上の女の子はそれに倣って元気に歌い、下の子は歌う二人をポカンと眺めながらなにかアーアー声を出す。
私は車内のノイズが気にならないよう i-Pod のイヤホーンを詰めて音楽を流し読みかけの本のページを追っていたのだが暫くして下の女の子が難かり始めた。 母親も少々難儀している様子なので私もこれを何とかできないかと耳栓をしたままポケットを探りトフィーを二つ見つけたのでそれをこちらを向いて難しがっている子供の鼻先に金色の包み紙をかざすとそれを目ざとく認めてためらわずにこちらに手を出しそれを摑む。 すると向かいのお姉ちゃんもこちらを伺うのだがこのときには母親もそれに気付きこちらに軽く会釈するともう一個がお姉ちゃんの手に渡る。 そうするとこのお姉ちゃん、居眠りをするお兄ちゃんの方を指してもう一つなんだけどなあ、という風だ。 そこで私はポケットをさぐってみるけれどマズイことにトフィーはそれで終わりだった。 この頃にはお兄ちゃんも眠い目を擦っているものの妹達の僥倖に気が付いている。
困った。 ここでお兄ちゃんだけ何にも無しでは不公平だ。 それでデイパックの中を探ると帰りの車内でスコッチをちびちび飲むときの伴として入れてあったビターなカカオ58%のチョコレートがあり、子供には少々苦いのだがまあいいかとマッチ箱2つ分ほどの欠けらを渡せばこのお兄ちゃん、眠気眼で受け取った。 お姫様方はトフィーを口にころころ言わせながらトフィーとは別のものが自分たちの鼻先を掠めてお兄ちゃんの所に行ったのを珍しそうにしていたけれど口の中に転がっているもので満足しているのか又それぞれに遊び始めた。
それまでお姫様方がマミーとイタリア語でやりとりしていたのだが男の子はその頃苦いチョコレートで目を覚ましたのか同じく目を覚ましていた父親とオランダ語で話している。 なるほど、親父オランダ人、母ちゃんイタリア人の家族だ。 そこではもう既に男同士、女同士の組み合わせが出来ているようでぬっとした半眼の男二人に元気な娘二人を退屈させないで自分も余裕のある女たちという区分が付いている。 こういうのは自分の経験でも思いあたる節がある。
スキポール空港駅にあと数分で着くという車内アナウンスがあると母親はテキパキと娘達に毛糸のマフラーを巻きつけオーバーを着せ娘達の荷物を持って降りる準備をするのだがその時には長男はのろのろしながらもしっかり降りる準備が出来ており私の横を通り過ぎるときにオランダ語でありがとうと礼をいい、母親、直ぐ下の妹と連れ立って降りていった。 一方父親は大きなスーツケースと娘達がすっぽり入るようなバッグをそれに乗せてひっぱり、片一方の手でまた難かる末娘をかかえて私に、大変なんだよなあ、と言わんばかりに頷きながら少々渋めの笑いを残して降りていった。
まだこれから飛行機の座席に着くまで1時間半ほどかかる。 先ず大きな荷物を航空会社のカウンターでチェックインして、子供達のための機内手荷物をかかえ通関してしまえばそれが第一関門、出発ゲートまで広いターミナル内の長い動く歩道に子供達を乗せれば子供達は満足するだろうしそのうちプラスチックの椅子が並ぶところで待機している間、子供達は放って置いても安全に遊べるから心配はない。 そのうちコールがかかって搭乗し白と緑のアリタリア機が動き始めるとそこから1時間半か2時間でローマかミラノ、もしくはもっと南か。 着陸して通関をでて、、、、、もうすでに夜中を周っていて、、、、末娘は眠っており抱えて移動し上の娘は何とか歩かせて父親と息子は無言のまま皆で自宅か家族の家に向かう。
そういうことを思うと嘗てそれに近いことを経験しているから若いときには何ともなくそれをやってきたけれど今このような家族を見ていると今の自分にはヤレヤレという気持ちになるのだ。
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