月に一度の愛人－終夜(後)

手の拘束が解かれて・・・

目隠しが外される・・・

わたしの顔を覗き込んだ芋川さんが言葉を失う・・・

悲しくて涙が出てたのと・・・

多分　すごい顔で睨んでたんじゃないかな・・・

目をそらす芋川さん

しばらく沈黙が続いて・・・

その沈黙を破ったのは　わたしだった

「何でです・・・？」

「えっ、いや、その」

「何でこんなことしたんですか・・・？」

「いや、これは、わかってたんだ？」

「何回・・・体を重ねたと思ってるんです・・・

何回気持ちを通わせたと・・・思ってたのに

わたしだけの　思い込みだったんですね・・・」

「違うんだ　」

「何がです・・・？」

「言い訳にしかならないが聞いてくれ」

聞きたくないってのが正直な気持ちだけど

どうしても　芋川さんが　理由もなしに

こんなことするとも思えないし


芋川さんのふりをして

わたしを抱いたのは　なんと水原さんの御主人

あの男か・・・

一回だけ芋川さんと飲みに行ったけど

わたしのこと　いやらしい目で見てたな・・・


水原さんの不倫が発覚したとき

予想通りに会社に乗り込んできた水原御主人

その時　水原さんがでまかせで

芋川さんとわたしも不倫してると言ったそうで

まあ　事実してるんだけど

水原さんは知らない話で

つまりは　嘘から出たまこと

本気にしかけた水原御主人　

水原さんに詳しく聞いたところ

根拠も何もないでまかせとわかったけど

憤りの矛先として芋川さんにも噛み付いて

慌てた芋川さん　うっかり認めちゃったとか・・・

否定し続ければいいのに　困った人だ

ここで水原御主人の考えが

水原さんや会社の人や芋川さんの奥さんに

黙っててやるから　わたしとやらせろと

それでその条件を飲んじゃったとか・・・


事情はわかったけど・・・

なんで相談してくれなかったのかな・・・

言ってくれれば　芋川さんのために

わたしから　身を差し出してもよかったと思うのに

ちあきもそういう話なら許してくれると思うし・・・


水原さんの御主人はなんとかしないといけないな・・・

愛人ごっこが終わったら

水原御主人がわたしとする理由がなくなっちゃうし

暴露とかしかねないし・・・

芋川さん　かなり落ち込んでるし・・・

まあ　自分で蒔いた種だし

そこまでは　わたしは責任持ちません・・・


ただ　このままじゃ　可哀相かな・・・

芋川さんを押し倒して・・・

「終わりですね・・・」

「そ、そんな」

「言いましたよね　裏切らない限り愛人しますって・・・」

「うん」

「でも裏切った・・・だから　終わりです」

返す言葉がない芋川さん

「わたしがされてるの見てどう思いました・・・？」

「悔しかった」

「それだけ・・・？」

「えっ？」

「乱れるわたしを見て興奮しませんでした？」

「いや、そては、すまない興奮したよ」

「その正直さに免じて最後の愛人しますか？」

「最後なんだね？」

「はい、もう二度と芋川さんとはしません・・・」

「そんな」

「だから　これが最後です、心残りのないように・・・」

それから獣のように・・・

何回もわたしはいって・・・

芋川さんも何回も出し続けて・・・

「まだ　終わりにしたくないのに　もう」

そうだね　最初に2回出してるし

足したら10回以上出してるし・・・

もう　さすがに立たないよね・・・


最後に濃厚なキスをして・・・

ちあきに電話して・・・

鍵をテーブルの上に置いて・・・

ぐったりしてる芋川さんに深くおじぎをして・・・


部屋から出て　扉が閉じる・・・


それで　終わり・・・


迎えにきた車に乗り込んで



ちあきにキスをする・・・


そして思いっきり・・・



　　　　　　　　　　・・・泣いたよ