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成程話…小林一三の定席
2012年05月21日 14:11
齋藤孝氏の心に響く言葉より
小林一三の経歴は慶応義塾大学から三井銀行というエリートを想像するが、実はその逆で、一三はダメ社員のレッテルを貼られた要注意人物だった。
一三は入行自体同期から遅れている。
12月に大学を卒業して1月から働き始める約束をしていたが、一三は熱海で静養していた友人のお見舞いにいったきり東京に戻らず、結局4月から働き始めた。
今の時代なら完全にクビだ。
お茶屋遊びも度を超えていた。
もともと一三は学生時代、新聞に連載小説を持っていたほどの文学青年で、芸事には人一倍の興味がある。
道頓堀浪速花座の老座主に呼ばれて、芝居見物にいった時の話だ。
老人は二階の桟敷席の末端に陣取って、舞妓をはべらせながら舞台を背にして座るのが常だった。
なぜ芝居見物にきたのに、舞台の方を向かないのか。
不思議に思って尋ねると大先輩はこう教えてくれた。
「興行というものは舞台の上の役者の芸を見ていると失敗する。
この芝居が面白いか、当らぬかは、二階の一番奥のお客様の様子をジッと見ていると、間違いのない結論が出てくるものだ」
後に宝塚に劇場を建てたとき、一三は二階A列0番の椅子二脚を定席にした。
この席は振り返るとお客の表情がよく見える席だ。
一三はこの席に座り、幕が開くまで客席のほうを向いて観察していた。
一三はこのように遊びの中でも、達人がさりげなく漏らした知恵をしっかりとキャッチするアンテナを張っていた。
まさに遊び上手は学び上手でもあるのだ。
ただ、たんにストレス発散のためだけにオフを過ごす人と、一三のように、好きな遊びをしながら何かの知恵を学ぼうとする人では、結果的に仕事力でも差がつくことになる。
遊びを遊びで終わらせるのか、それとも仕事や人生を豊かにする学びの場とするのか、それは本人しだいだ。
『凡人が一流になるルール』PHP新書
昔、人生の大先輩と食事をした時、あることでのの感想を聞かれた。「非常に感動しました」と伝えると「感動だけして、どうするの。それを聞いて、貴女はどう動くの?」と言われたことが。素晴らしい講演を聞いたり、繁盛している店を見て、感動するのはいいこと。でも、感動だけで終わってしまってはだだの、ひとのいい素人。
大事なことは感動を自分に置き換えてみること。どんな世界でもプロを目指すなら感動を学びの場にしなければならない。楽しんでお金を払うお客の立場と、楽しませてお金を稼ぐプロとは見方や考え方は天と地程違う。プロの感動は行動に結びついてこそ完結する(そこが難しいよね)。
このウラログへのコメント
物事の捉え方にも色々ありますね。自分と違う見方を知るって、いい刺激になって楽しいです。
しゅうくりいむさん:ですね♪同じものも角度を変えてみると面白い
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