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初めてが、肝心なんだよね

2010年11月22日 23:51

今日の話はいかがでしょうか

午後10時15分。電話が鳴ると、私はすぐに受話器を取り上た。

「すごいね佐貴ちゃん、すぐに電話に出た」

恋人の亮が、受話器の向こうで感嘆の声をあげた。

「だって、この時間に電話くれるって言ってたでしょ」
「待ってたんだ? もう脱いでるの? それともまだ?」
「うふふ……」

意味深な笑いだね。さては、もう脱いでるね?」
「全部じゃないわよ? あなたの好きなアレとソレはつけてるわ」
「うん。見えないってのも興奮するね。僕のは、もうカチカチだよ」

私はY市の総合病院に勤務する看護師。岩城 佐貴子38歳。小児科ナース。彼は同じ職場の、婦人科の黒崎 亮先生。40歳。

初めての時、彼は目を見張ったわ。だって、仕事が厳しかったこともあるけれど、名前も硬いけど、態度も真面目の上に超がつく、ってよく言われる私は、 27歳のその時までバージンだったから。


彼、シーツについた真っ赤な花びらを見て、すごく感激して興奮していた。苦しいくらいに抱きしめられて、痛かったことなんてどこかへ消えちゃったわ。初めてだったから――処女喪失って、本当に血が出るのね。

それってもう伝説のように感じていたのだけど、シーツの上に、真っ赤な血が、まるでバラの花びらみたいに散っていたの。

「初めてが、肝心なんだよね」

亮はそう言ったわ。女を、不感症にするのも、成熟した女性にするのも、初めての男次第なんですって。さすがは婦人科のドクターってこと?それからつきあい始めて、いつの間にか十年になるけれど、彼とのセックスはどんどんよくなって、エスカレートしていく気がするの。私が女ざかりなんだ、って言うけれど。

用意がいいのか、職業柄か、甘い匂いのするローションと、コンドームは常に携帯しているのよね。オトコのたしなみなんですって。

この前なんて――。

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私、ナースの時は白衣の天使だけど…
「……今度、佐貴ちゃんのココ、内視鏡使って、見てあげようか?」
「うそ、冗談でしょ?」
「だって、佐貴子のココ、俺以外の男の指が広げて診るなんて我慢できないな」

でも、オフの彼は、さすがにそんな医療器具は持っていなくて。


「このベッド、スプリングがよくないなぁ」

それも都合のいい、言い訳だったの。ベッドから降りた亮に、気がついたら鏡の前で、後ろ抱きにされてたの。亮が選んだホテルの部屋は、目の前には、大きな鏡の壁があったわね。

「いいですか、ちょっと冷たいですけど、我慢してくださいね」
「なぁに?やだ……本当に冷たい……」

甘い匂いのするローションを、亮は自分の指を二本使って、ゆっくりと撫でるように、なだめるように私の大事なところに塗りこめたの。私はなんだか、クリを弄られているうちに、どんどんアソコがむず痒いように熱くなって――。

「ああ、もうとろけていますね。痛くないでしょう?ではもう少し脚を開いてくださいね」
「……なに言ってるのよ……もう、いやよ……」

ドクターの言うことは、ちゃんと聞いてください。はい、身体を楽にして、おなかに力を入れないで」
「それって、……本当にいつも言ってるセリフね?」

ゆっくりと彼自身が顫動しながら、入ってくる。

「……あ、ヤダ、深いわ」
「自分で腰浮かせて、丁度いい位置を調節してみる?」
「また、そんな……むちゃ言うのね」

ちょっとだけ憤慨してみせると、彼は私の機嫌を取るように、耳たぶを噛んで言ったわね。

「この体位、知ってる? 乱れ牡丹、って言うんだよ」

目の前の大きな鏡には、両脚を限界まで広げられ後ろ抱きにされた私と、亮の姿がはっきり映ってた。私は、亮のリクエストで黒のガーターベルトストッキングだけはつけていて、まるでAV女優みたい…。


四十八手のひとつでね、それから……」
彼ったら、私の乳首とクリを両手で摘まんで、
「あ! ん、いや……んっ……」

思わず声が漏れちゃったじゃないの。

紅潮してる。ココ、感じるだろう?こうすると、しぼり芙蓉(ふよう)。いいね。みやびな形容だ」

江戸時代セックスの指南書の、体位ですって。変なところが博学なのよね。それとも職業柄、正常位じゃ興奮しないのかしら?
――あの時のこと、思い出すだけで、ローションなんていらないくらいよ。

だから、今夜の電話も、待っていたわ。あなたの声を聞いてする、ひとりH。私、ナースの時は白衣の天使だけど、あなたを思う時は、本能のままの女よ。

今度は内診台の置いてあるラブホテルを探してみようかしら。昼間の私たちになりきって陶酔する、なんて、どお?白衣の下に黒のレースランジェリーをつけて、ね。考えただけで、濡れてくるみたいな気になっちゃったわ…。

如何でしょうか。

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