流れよう流されようこの波に揺らされ

歯医者に行ってきました。
今回は虫歯治療などではなく、定期点検というやつです。
虫歯があるかどうか確認してもらって、あったらこれから治療、なかったらクリーニングだけして終わり。

幸い、虫歯はなかったので、クリーニングのみでした。
しかしお掃除だけとはいえ、歯医者に行けばあの仰々しい治療台というか椅子に座らねばなりません。
家に1台欲しいような立派で快適なリクライニングシートですが、座ってやることは口の中をガリガリバキバキゴキゴキとなかなかに壮絶な施術となります。
だからでしょうか。
またしても、あの曲が脳内で再生され始めたのです。

ちーっちちっち　おっぱーい　ぼいんぼいーん♪

いや…これはこれで、恐ろしい治療の気が紛れていいのかもしれん。
もう、いっそのこと、院内で流していただけたら。
でも実際に流れているのはディズニーやジブリです…正直、そんなの聞こえんかったけど。
クリーニングの最中ずっと、もげ、もげ、ちちをもげ～、でしたから。

ちちをもげの幻聴を聞きながらクリーニングを終え、支払い待ちのため待合室で座っていると、ひとりの年配女性に声をかけられました。

ちょっとあなた、トイレについてきてくれませんか？

え？トイレ、すぐそこですけど。
わかりにくい場所でもないけど。
でも言われるままにご案内？すると、中に一緒に入ってくれと。
言うまでもなくトイレは個室、ふたりで入るのはちょっと…。
知人でも無理だし初対面のこの人ととか、絶対無理だし。

などと思いながら入ると、そのおばあさんは言いました。
用を足した後、どこを押せば流れるのかわからなくて我慢していたんです、と。

なるほど、リモコンがリニューアルされていました。
これは確かに高齢者にはわかりにくいですね。
パネルのラビリンズです。

おそらくその人は私と同じで、ボットン便所育ちなのでしょう。
今どきの家ならほぼ水洗でしょうが、便器の後方などにレバーがある旧式のやつや、リモコン形式でももう少しシンプルなやつが日常使いなのでしょう。
流すボタンですが、「止」の上の部分に大用と小用がちゃんとあり、おばあさんは無事に思いを遂げて満足そうでした。
文明の進化は素晴らしいと思うと同時に、旧態依然の方々を置き去りにするのが難点ですね。
世の中の全部の人が快適に過ごせる日は来るのでしょうか。