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全てこの世は事もなし

2006年05月17日 20:36

颯爽と反モスリムを掲げ、西洋ポリティカル・コレクトを標榜していた元経済避難民でほぼ9年前にオランダ国籍取得、オランダ保守党右派の旗手となり、自分が脚本を書いた反モスレム映画の監督が急進派に暗殺されることとなり自身の安全も脅かされ潜伏しながら議員活動を続ける一方、昨年米国有力紙で活動が賞賛され、講演、各種の女権、反モスリム・キャンペーンを繰り広げ続けたことが功を奏してか現在ブッシュ政権シンクタンクに職を得たといわれる第二院国会議員が、かつてオランダ避難民として入国するに際してID偽証の事実があったとしてこの2週間ほど広くメディアで広まり、丁度その時期、同じようにバルカンからの避難民で入国に際して偽証があったとして今オランダで育ち高校卒業試験の生涯で重要な時期に国外退去させられた少女も大きくニュースになったこともあり、本来ならこの女性議員協調するところであった同じく女性議員である同保守党移民政策担当大臣がこの女性議員国籍剥奪、というよりパスポートに記載の人物は存在しないとして本人を難民という身分に戻したため、今日この議員は辞職、急遽オランダを離れ、アメリカに向かったのだが、その事件でラジオテレビ俄然活気を呈したのだった。 

その、大臣がとった処置を巡って国会討論がラジオで中継されていて、それを風呂に入って聞いていた。 当初からこの議員に妙なものを感じていた者である。 言葉を沢山自由に操り、メディア処理も巧みで、むりやり結婚をさせられそれから逃げて海外に出てあげくに自分の宗教を捨て逆に西欧民主主義の敵だとモスリムを糾弾し攻撃に励むその言葉はオランダに偽証して入ってから国から支給された資金で政治学を学んだ論理が性急に息づいている。 直截的に実際の政界でも活動するその言動には危ないものを感じたのは一度や二度ではなかった。 ここまで当人を駆り立てる動機が自分を追い詰めた社会、政治環境に対する憎悪であるのだろうが一人で旧世界を敵に回すかのような姿勢に無理があるような気がしたものだが、けれど政界マスコミではいつも脚光を浴びていた。 この人の始末、顛末を聞いて、しかしまだ幾つかの謎が残る。

この女性議員がそのまま一生嘘を通し続けることができると思ったのだろうか。 もう何年も彼女自身が偽証していたことをメディアで公表していたにもかかわらず今、現在この処置が行われたのはなぜか興味のあるところだ。 現在、保守党の党首を選出するための活動が盛んであり、女性移民政策担当大臣がその第一候補であるのだが、もしかの場合には保守党の党首として首相の座も遠いものではなく、最近話題になったこの事件の議員保守党内急進派として将来ライバルになるやもしれないこと、また党内の規律、しいては国の内外での問題の種になりかねないのを今回の偽証を理由として取り除こうという意図があったのではないかという噂まであるし、事実、この国会質疑でそれを質す議員もいた。

このように、湯船で聴いて、自分の26年前を思い出そうとした。 私自身はオランダ国籍を取得していないし当分のあいだはその意思もないのだが、当時は市役所の移民デスクで簡単な手続きをしただけで滞在ヴィザを手にしたものだ。 けれど、まわりには移民の申請をする人たちが全く違った雰囲気の中で厚い書類をかかえて長時間待っていた。 移民政策は当時に比べると格段に厳しくなっていると聞く。それに私が來蘭した当時、モスリムなどは政治の焦点にさえなっていなかった。このような状況が遠い将来日本にも訪れると想像するがどのように対処するのだろうか。

湯から上がりテレビの前に来ると家の女どもはアメリカの連続ソープ劇、必死の妻たち(Desparate House Wives)を観ている最中だった。

全てこの世は事もなし、という風情である。

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