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電車の中

2006年05月14日 09:11

私は、長年、オランダに住んでいて、先日、北のほうの町を繋ぐ国鉄急行に乗っていたのだが、平日の日中ということもあり車内はかなりすいていて、検札に来たでっぷり太った女性車掌が向こうの方の席に坐る70近い、これもでっぷり太ったおばあさんの切符を見て、これだめですよ、これじゃだめです、といってる。

そこで、このおばあさん、やわら携帯を取り出して番号をポツポツ押し、なにやら話し出しその携帯を車掌突き出し、娘が手配したんだから娘と話してちょうだい、とこれを言っている。 この車掌、おばあさんの向かいによっこらしょ、と腰掛けて娘となにやら話だした。

そのあとどんな具合にまとまったのか知らないけれどにこやかにまだ納得のいかない顔つきの老婆に一言二言言葉をかけて車掌は私たちのところに来、微笑を残したまま検札を終わり次の車両に去った。

で、その老母、娘にまた電話をかけ、なにやらぶつぶつ文句を言っている。 残念なことにここまでははっきり聞こえてこない。 オランダでは車内で携帯電話で話すのは個人の裁量、常識の範囲ということになっているので、公共の場所ではよっぽどのことがなければ注意を促す事は言われない。 だから、自己判断で行動する。 人は十人十色、アホらしい話や、うんざりする話もたまに聞こえてくるので読み物が無くても退屈はしない。 

ただ、混んだ車内でそういう話をしていると廻りも皆、聞き耳小僧状態だから賢い人は小声でひそひそ簡単にそそくさと済ませ周りを気にする風に眺めて何事も無かった様にもとの状態に戻るのだけれど、たまには興味を引く人というのは家庭の雰囲気、関係をほのぼのと廻りにばら撒いてくれる人たちなのだ。

けれど、これにも限度があってこのような空いた車内であれば取り立てて言うことも無いが20分も満員電車に詰め込まれて聞きたくも無い会話を聞かせられる不条理、不愉快は分かるのだが、幸いなことにこの国に来て25年以上そのような経験はしていない。

もっとも、日頃、私が電車内で長時間に亘って座っているというのは普通の通勤客とは逆で、すなわち、人の移動と時間も方向も逆であるらしく、夕食後、電車で出かけ真夜中過ぎに戻ってくる、そんな自分がこの話を書くのに外れ気味なようにも感じるが、ジャズコンサート帰りのガラガラ終電車から遥か彼方、田舎道の暗闇を最終電車に伴走する街灯を眺めながら、また、窓ガラスの反射でi-podのイやホーンを耳に眠りこける若者を目の端に見ながら、そのうちイヤホーンと高精度のマイク内臓の携帯で囁くようにしてでも通話できるものが出来るに違いないと想像しながら、耳長叔父さんとしては少々寂しい気もしないではない。

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