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成程話:花結びの人
2014年07月29日 23:36
エッセイスト、清川妙氏の心に響く言葉より
花笑(はなえ)みということばが好きである。
このことばを聞くだけでも頬に微笑がのぼってくる気がする。
花笑みとは、もともと、つぼんでいた花がパアッとひらく様子を言うことば。
古典教室の堀川さんから、大変おもしろいことばを聞いた。
「公園の散歩などで行き会う人たちは二種類に分かれるんですよ。花結(はなむす)びの人とカタ結びの人に」
“花結び”の人は、会えばにっこりきれいな微笑がこぼれる。
花結びした紐の片方をひっぱるとするりとほどけるように、表情がほどけてやらわらかい笑顔になる。
花笑み。
それである。
“カタ結び”の人は、その反対。
しっかりとカタ結びにした表情は、人と出会っても固く口を結んだまま、にこりともしない。
すてきな感性の持ち主の堀川さんらしい、なんとユニークな表現であろう。
この二つのことばを聞いてから、いろいろな人に会うのが、愉しくさえなった。
この人はカタ結びかな…近づかないうちから二つのタイプをあてられるのもおもしろい。
この花結び、カタ結びは、ただ表情だけではなく、会話にもつながる。
三十年ほど前、イギリス、ヨークシャーの嵐が丘に取材に行ったとき、谷川の傍の狭い道で、土地の人に出会ったことがある。
昨日まではどんより曇っていたのに、その日は朝から晴れわたって、せせらぎもきらめいていた。
向こうから来た人はすれちがいざま、花笑みを見せて、こう言った。
「やあ、あなたがたがいいお天気を連れてきてくれましたね!」
花結びの人の、ほんとうにおしゃれなあいさつをいまも思い出す。
『ほほ笑みのある暮らし』中経の文庫
花笑みは、「花咲み」とも書く。文字通り、花がパアッと咲いたような華やかな笑顔のこと。
笑顔は相手の心の扉を開くことができるが、固い表情は相手の心を閉ざしてしまう。
子どもは、「今泣いたカラスがもう笑う」というように、泣いていても、すぐ機嫌を直して笑う。
しかし、たいていの大人はそうはいかない。
誰かとケンカしたりすると、それが直るのに何日もかかったりする。感性に柔軟さがなくなってきているからです。
心にわだかまり、というしこりが残ってしまっている。
心に、こだわりがない人、淡々とした人、素直な人は、花結びの人。
わだかまりや、しこりという固い結び目を持っている人は、カタ結びの人。
花笑みのある「花結びの人」でありたいな。
このウラログへのコメント
確かに今は簡単に機嫌は直りませんね
(  ̄▽ ̄)
…カラスガもう笑う
小さい頃はよく言われたのに
SYUZO-さん:そういうの私も聞いたことあります
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