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Fくんの憂鬱 その2

2008年08月30日 01:04

Fくんの憂鬱 その2

「先生、おれ、もう一本立ち出来るでしょうか?」

FくんのPバーでの第一声は、こんなふうに始まりました。

「先生から見て、どうですか?アーティストとしてやっていけますか?」
「Fくん、何か、勘違いしてないかなあ。」
「・・やっぱりまだだめか・・」
「いや、そうではなくて、もともと君は立派なアーティストだよ。」

若い頃、道に迷い苦しむ原因の多くは、自分の現状を正確に把握してないことによるものだ・・と行っても過言ではないでしょう。自分を過大に評価し過ぎて現実とのギャップに悩む・・とか、逆に、現実として大きな結果を出してしまった自分に戸惑い、先行きに不安しか感じないとか・・。

「知ってるよ。NY行きの話があるんだろ。」
「・・はい・・」
「行ってこいよ。向こうでしばらく頑張ってみろよ。」
「・・やっていけるでしょうか・・」
「やっていけると思ったから、声がかかったンじゃないのか。自信持てよ。」
「おれなんかで大丈夫でしょうか・・」

事実、保証はありません。一日で、スーパーアーティストの仲間入り・・と云うケースもあれば・・十何年たって、ついに芽が出なかった・・と云うこともあります。・・はっきりしているのは、Fがまだ20代であること。年齢的に、失敗は許されない私とは違うわけで・・多少、挫折しても、まだ充分に時間がありますからね。・・・と、そのような話と彼のコンセプトがいかにおもしろいか・・を解説しておきました。

Fが、決めかねていたNY行きを、背中から指一本で押して、決心させることに成功した様です。

「実は、まだ、相談があるんです。」

今度は、彼女とのことについての相談です。なんだなんだ!おれはカウンセラーじゃないぞ!・・と云うわけで、続きは明日!

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