一昨日、Tとのピロートーク

私の左手を腕枕にして、Tは足を絡ませて私に抱きついている。

「私、Sさんには、何一つ勝てないと思う。ねぇ、センセー、そう思いませんか？」

・・・Tは突然、そんなことを言い出しました。

「・・・あのさ、何の勝負なの？」
「勝負って云うか・・人として、女性として・・」
「SちゃんはSちゃん、TはT。それぞれ違う人なんだから比べてもしょうがないよ。」
「・・だって、Sさんは頭いいし、スタイル良くて、美人で・・でも、優しくて・・御主人も格好良いし・・そう、結婚してるのにせんせーのお気に入りだし。」

確かに、Sちゃんは一般的には、大変聡明でモデルなみのスタイルと器量を持ち合わせています。

「・・Tさ、おれ、昔、授業で云わなかったかなぁ・・。『頭が良い』と云う事実と『頭が悪い』と云う事実は、その人物の単なる構成要素であって、どちらが良いかではない。」
「でも、私、生まれかわれるなら、Sさんがいいなぁ。」
「Sちゃんは、Kになりたい・・って云ってたなぁ。・・・Sちゃんは頭が良いことがコンプレックスなんだよ。」
「えーっ、Sさんが・・・。信じられない。」
「人は、それぞれなんだよ。」
「Kちゃんはせんせーになりたい・・って云ってました。」
「おれ？・・Kはおれのこと、サイテー男ってよく云ってるよ。」
「それは、女性の側から見て彼氏としてはサイテー・・ってことですよ。」
「・・で、自分はそのサイテー男になりたいわけ？」
「・・だって、せんせー、ずるいくらいモテてますよ。」

解ってないなー、KもTも・・。　私は、sexはするけれど・・恋愛は出来ない寂しい人なんですよ。結構、臆病だし、ガードかたいよ。君みたいに、なんでも熱く青春出来る人が羨ましいよ。

「せんせーは？　生まれかわれるとしたら・・誰がいいですか？」
「おれは、今度、生まれかわれたとして・・そうだな、セルジュ＝ゲインスブールか・・やっぱり、おれがいいな。」

結局、自分のことしかよく知らないし、誰になっても悩ましいことはあるに決まっている。病気であろうと私は私でいたいと思う。