冬の彼方へーーー秘め事2

東澤朋樹は26才、美紅より年下だが飲み込みが早く仕事もでき好感を持てる青年だった。
新卒で入社したころの彼には、美紅は時に厳しく時に評価してアドバイスしたものだった。
今ではチームにもなくてはならない人材であり、伸び盛りといった頃だった。
しかし恋愛感情を持ったことはこれまでなく、突然の告白に、
しかも後ろから抱きしめられた態勢で美紅は身動きがとれない…。

「東澤君、こんな事はダメだよ…
あなたの気持ちはありがたく思う…でも…」
美紅は続けた。
「私には夫がいるし、ここは職場…あなたの気持ちは一時的なあこがれのようなものじゃないかな？
だって今迄そんな事思ってるように見えなかったよ？
突然何かあったのならいって欲しいよ…」

東澤は美紅から手を解くと美紅の身体をぐるりと自分と向き合うように回した。
そして言った。
「では改めてですが…ご主人がいても構いません。
如月さん、あなたのこと…」