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冬の彼方へーーー秘密2

2015年01月05日 02:22

その日は午後6時半きっかりに仕事を切り上げようということで、
チームは朝からスパートをかけてプロジェクトに取り掛かった。
クライアントは小規模だか今勢いをつけているデジタルコンテンツの会社だ。
美紅の会社はデザイン印刷からコンテンツの提案まで取扱っていて、
チームはデザインコンテンツを請け負っている。
どこでもそうだが納期が迫っている為このところチームも気を引き締め直す時に来ていた。
その中での決起集会、気が早いが打ち上げを兼ねた飲み会がその日と決まったわけだ。
ギリギリまでチーム全員は仕事に集中し、この日は皆口数も少な目になっていた。
ピピピッ!
誰かの携帯が鳴った。10分前のアラームをセットしていたのは美紅の後輩、
上野咲紀だ。チーム内で下から2番目に若い28才、この日の幹事も引き受けてくれたしっかり者の女性だ。
「皆さ~ん、もうすぐですけど大丈夫ですか~?
仕事の納期も飲み会タイムも、どっちもお願いしますよ~!」
他の者も従う。飲み会スタートは7時からだが、片付け、移動と何かと手間取るものだ。
ひとまず咲紀が音頭をとってくれると場も和む。嫌味のない子なのでチームの癒しともなっている。
場所を店に移し、チームは上司成田洋平を筆頭に全部で6人。
店はイタリアン料理店だが、今日のコースはイタリアントマト鍋メイン、
飲み放題付きで咲紀がセッティングしてくれたものだ。
いつもは真面目な話が飛び交う食事会が多いのだが、
この日は飲み放題の飲み物がイタリアン料理に良く合い、
仕事のストレスも炸裂して皆アルコールが進み、いい雰囲気だ。
美紅はワイン系をグラス何杯飲んだろうか、
普段クールで通っているが、気分も軽くなりいつもより饒舌に、
よく飲み、よく笑っている自分に、気持ちの開放感を感じるのだった。
そんな和やかで盛り上がった時間もそろそろ終盤、
課長である成田の締めの言葉で飲み会はお開きとなったのだった。
三々五々、一人、二人とよろめきながら店の外に出ると、
表は急にひんやりした空気に包まれた、まさしく冬の夜となっていた。
ぶるっ…思わす美紅は身震いしてしまった。
「寒いじゃん…!あー寒い…」
コートの身ごろを思わずぎゅっと合わせ直す美紅を見て、
ふわりとマフラーを美紅の首に巻いてくれた者がいた。
神崎理、朝偶然電車で一緒になったあの神崎だ。
如月さん、急がないと電車間に合わないですよ!」
「えっ?もうそんな時間だったかしら…!?」
終電は…と、時計に目をやると11時半を回っている…。
ここから家までの電車はもう本数も少ない…。
「急ぎましょう!僕も今日は実家に泊まることにします。
バッグを持つんで駅まで走れば間に合います…!」
美紅もよろけている場合ではない。
皆にお疲れ!と挨拶だけ済ますと、神崎と一緒に小走りに走り出そうとすると…
「痛っ…!」
美紅は酔いで足がもつれ、途中で他の店の看板にぶつかり転んでしまったのだ…。
如月さん!大丈夫ですか!?」
一足先を行っていた神崎が戻って美紅の身体を起こしてくれた。
「うん…ちょっと肩が当たって…情けないよね…ごめん!
ありがとう…」
「ちょっと足も痛そうだから、僕の腕につかまって!
無理はしないでいいですから急ぎ足で行きましょう…!」
美紅は神崎の言葉に甘え、抱えられるようにして駅へと急いだ。

このウラログへのコメント

  • takeshi2012 2015年01月05日 04:31

    続きが気になるなぁ

  • 海ぶどう 2015年01月05日 05:37

    終電に間に合う?きっと間に合わないよね♪

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