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心温まる話…【K先生に会えた】
2012年01月29日 19:33
NTT西日本コミュニケーション大賞より
【K先生に会えた】
空白藍(ペンネーム)/奈良県
小学3、4年生の時の担任のK先生は、大学出たての新任教師だった。
家庭環境が複雑で、学校を休みがちで、級友ともコミュニケーションが上手く計れない私に、新しい係りを作って、人前で話せるようにして下さったり、学校へ来る事の意義を教えて下さった。
父が事業に失敗して、債権者が自宅に来るようになってからは、私にはそうと知らせずに学校帰り、先生のアパートで過ごせるようにしてくださった。
いつも牛乳にお砂糖を山盛り入れて飲ませてくださり、友だちのいない私に穏やかで優しいクラスメートと宿題を一緒にしたり、クラスの男子もよんでゲーム大会をして下さったりした。
そんな先生と突然のお別れが来た。
ある日、急に、母の実家へ引っ越す事になったのだ。
母の実家へ行ってからは伯父夫婦にとても大切にしてもらい、幸せだった。
きっと私の事を心配してくれているだろうK先生に「幸せにしています」と手紙を書いた。
しかし、その手紙は母に叱られ送る事はできなかった。
その手紙の住所から債権者に私たち親子の住まいが知れ、伯父夫婦に迷惑がかかることを恐れたのだ。
大人になり、K先生と過ごした都会へ就職することができた私は、社内で見つけた教職員名簿を見て胸が高鳴った。
K先生にお会いできるかもしれないと…。
けれど、その名簿に先生のお名前は無かった。
それから十数年が経ったある日、友人からタウン誌に投稿した文章のことで連絡があった。
掲載されてから随分とたっていたので、訝しく思い訊ねると、暇にまかせて私の名前をネットで検索するとタウン誌のHPに掲載されていたという。
そのときは友人に言われたとおり、自分の名前をいれて感心しただけだったが、ふと、K先生のお名前を入れてみたくなった。
あった。
K先生のお名前が。
幸い先生のお名前は、珍しいお名前だったので、間違いないと思った。
先生のお名前のあった小学校は昔いらした小学校の隣の県だったのだ。
今度はその小学校の名前を検索してHPから電話番号を調べ、電話した。
手が震えた。
午後5時を過ぎていたので、教職員の方は、お帰りになっているかもしれない。
自分の鼓動が聞こえる気がした。
電話を取って下さったのは年配のとても柔らかな口調の方だった。
恐る恐る、K先生のお名前を口にすると「ああ、K先生ならこの小学校にいらっしゃいました。今年の春定年退職なさいましたよ」
とおっしゃった。
涙があふれた。
こんなに身近に先生を探す手立てがあったのに、どうしてもっと早く気付かなかったのだろうと。
そんな私の電話の様子を察して下さったのか「何かご事情がおありですか?」
と訊ねて下さったので、自分がK先生の教え子で、昔先生にお世話になったので一言お礼を申し上げたかった。
ということを説明すると「私はこの学校の校長で、先生はすぐ近くにお住いですよ」
とK先生の連絡先を教えて下さった。
おかげで私はK先生にお電話をする事ができ、三十数年前の自分に戻ってK先生にお会いしてお礼を言うことができた。
K先生もとても喜んでくださり「僕の教員生活も無駄ではなかったんですね」
とおっしゃり、コーヒーに砂糖をたくさんお入れになった。
このウラログへのコメント
人の思いは時間を超える、タイムマシン。心こめてた事、心込められてされた事は忘れない。人間て素晴らしい
なださん:ほんとですね♪この方がK先生と再会できてよかった
阿木さん:ほんとですね行動して再会できてよかったです
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