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独立

2006年04月25日 19:32

 晴れて自由の身。

 軽く挨拶を済ませ、会社を出た。
 もうこれでこの会社に足を運ぶこともない。

 会社を出て、夕方の少し冷たくて澄んだ空気を吸うと気持ちよく、少しさっぱりした気持ちになった。

 これでまた自由になれるという気持ちが押し寄せた後、本当にやっていけるんだろうかという不安が混ざった気持ちだった。

 俺は一昨年の8月勤めていた代理店を辞め、独立した。

 国内大手の某得意先現場のトップから「会社を辞めても引き続き企画提案してくれるよね。」と言われていて、もう稼ぐ気満々だった。
 年収は1200万円(バイト代込み)を突破していたが、その3倍以上を稼ぐ気でいた。

 正月返上で仕事をし、突然2月にカミさんが亡くなった。なんの前ぶれもなくある日突然カミさんは亡くなっていた。

 茫然自失し、ホントマンマ茫然自失を体験し、得意先関係各位に何とか挨拶し、実家である静岡に戻った。

 兄が迎えに来てくれて、ホント今でも感謝している。甘えていると言われれば返す言葉もないが、一歩も動くことが出来ないでいた。

 お葬式等あったから猫を知人に預けていた。ヨウニャンも知らない人の家で精神的にイッパイイッパイだった。こいつだけは何とかする!と思った。

 5月、働く様な状況では無かったが、周囲の強い要請もあり、しかたがなく、今の会社に入社、はっきり言って到底働ける状況ではなかった。

 そして9月に母親、10月に猫が亡くなった。

 石になりたい、本気でそう思った。

 集中力が無く、何かをしようとすると「で・・・それが何か意味あるの?」って気持ちが押し寄せてくる。会社でもすっかりダメ人間烙印を押されてしまった。

 でも、おもしろいもんで、後ろの席に座っている子と恋愛をしたのだが、悲しみで覆われていた気持ちが、逃げるかのように、恋愛楽しい事だけを考えるようになっていった。

 当時の俺はすごくそれが救いだった。悲しい気持ちから逃れる事が出来るからだ。でも今にしてみれば、それは逃げているだけだったんだろう。

 でも、その恋愛のおかげで、悲しみという暴君から、一つ一つ感情を取り戻す事が出来た。ホント毎日毎日数えるかのように、自分に様々な感情が戻っていくのを実感して、嬉しくてしょうがなかった。

 去年の今頃はとても独立なんて考えもしなかった。でも今、独立に向けて”気合い”が自分自身の中に充満している。

 そして今では”怒り”ですら嬉しく思う。
 
 人は生きている以上”欲”から逃れることは出来ない。”欲”は素晴らしいと思う。欲の無い世界は石の世界、つまり死の世界と一緒だ。その真逆が”欲”だ。生きているということはイコール”欲”なのだと思う。(もちろん聖人君主は別だが。。。修行ですら”欲”というベースがあってそこからいかに解脱するかという戦いだし、修行だって”欲”が中心なのだ。)

 そして墓石に刻まれている名前のように、最後は全ての”欲”から解放され、ただただそこに名前として佇んでいる。

 それを見るにつけ、分からないけど、いろんなことがその人の人生にもあったんだろう、でも今は気持ちが何もぶれることのない穏やかな世界に包まれている、と思うと何だか少し嬉しくなる、と同時に、今生きている生を存分に発揮しなければならない、と思うのだ。

 だから俺は稼ぐ。稼いだ金は己の求めるままのために使う。

 自分がどうありたいかそのために生きる。

 その為の独立であり、準備もしてきた。

 そして裏デジに書いた理由!
 ”エッチ万歳!”生きているからこそだと思う。俺はエッチになるぞぉ!!もうこれでもかって位にいっぱい卑猥な事してやる!

 エッチするために独立する、そう言い放ってしまってもいい位な気分である。

 俺独立します。

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