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【まじすか!】01-1、戦後の魔法少女っ!

2012年04月23日 15:03

昭和30年(1955年)。

「今日から一緒に学ぶ転校生を紹介する」
「ふーん」
クラスの皆は無関心だった。時期外れの転校生は珍しいものではなかった。戦後から経済成長の橋渡しの時期である当時、人の流れは活発で、転校生も毎月のようにあることだった。
「夢野朱理」
黒板に書かれた文字。
前に立つ美少女。無関心な生徒。
「ゆめの、あかりです。よろしくお願いします」
朱理は美少女の部類に入る容姿だが、生徒の関心にはない。
この時代、転入して馴染むか馴染まぬかで転出する事がよくあり、このクラスも例外ではなかった。
しかし、沈黙は次の瞬間に消される。
「あ、あなた、今朝のぱんつ覗き魔!」
角の席を指して朱理は叫ぶ。
「ちっ違っ!路上でぶつかって云々でっ」
「そうだな。清澄故意におなごの腰布を見るようなわけあるまい」
椅子に座った担任もフォローにまわる。
「ここで会ったが百年目!ギッタギッタにしてやるんだからっ!覚悟しなさいよねっ」
どすどすと清澄に近付く朱理。
「おー。夢野、お前の席は清澄の右隣だ」
「勘弁してくださいよ~。僕、転校生に何されるかわからないよ」
清澄。お前なら乗り越えられる。苦手克服の機会だ!」
担任は楽しそうだ。


ざわざわ……
中学校はその噂の渦中になった。
2年の清澄翔太に押し掛け女房が来たという噂だ。

もちろん、そんな事実はない。事実は朱理のぱんつだけだ。そこから話が飛躍したらしい。
娯楽の少ないこの時代、噂で楽しむもひとつの娯楽だったのだ。
「わたし達が夫婦って噂ね」
クールに事態を言う朱理。
「いっ嫌じゃないの?」
「無関心よりはマシよ。べっ、べつにあなたが好きとかじゃないんだからねっ」
当然だ。ふたりははじめて会ったばかりだ。噂を流す側もそこは折り込み済みだ。
「で。あなたはどうなのよ。そこそこの容姿女の子夫婦にされて」
「迷惑だよ」
ガビーンズバリ言うのね。わたしって可愛くないの?」
そういう事ではない。
「僕はいやなんだ。人間が」
翔太のその言葉に朱理ははっとした。この時代の人間は戦争ないし戦後の混乱期の傷を受けて、人間不信な事が多々あると。
「あ、謝らないわよ」
「夢野さんが謝る筋合いはないよ」
「なによっ」

変な口喧嘩が起きる。
「わー。夫婦喧嘩だ~」
噂を鵜呑みしてる人々はその模様をそう言った。

ちりんちりん♪
キンコンカンコンじゃないの!?」
放課後を告げる鈴の音に文句する朱理。
「何いってんの」
「いや。前の学校ではキンコンカンコンという鐘の音だったのよ!悪い?」
何かを隠すように朱理は言った。
「悪いとかじゃないけど。じゃあ、僕は帰るから」
部活とかないの?」
「こんなドイナカの中学校にマトモに動いてる部活なんてないよ」
部活に行くならば、下働きに出る生徒が多いのだ。
「というわけで、清澄さん、また明日」
立ち上がる翔太。

「待って!」
「ん?」
「どうせなら、一緒に帰らない?」


続く!

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