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【魔法少女っ】68-5、アドルフ贖罪の旅。

2012年04月20日 20:47

アドルフ・ヒットラー

話は最終決戦の翌朝に戻る。
「ぴよ」
清澄家のキッチンダイニングに改まって座るアドルフ。机上には何枚ものメモ用紙とペン。
「どうしたんです?改まって」
パジャマ姿の茜が向かい席に座らせられる。
「ぴよぴよ」
語気で大事な用事とわかったので真剣に聴くとする。
「俺は麻衣子に同行して、東京へ行く」
慣れない日本語で、アドルフは紙に書いた。
「ええっ!」
驚く茜。
「どうしてですか?わたしはあなたのそばにいるには役不足ですか?……胸は小春よりはあるのに」
「ぴよぴよぴよぴよ!」
違うといい放つアドルフ。
茜に魅力がないとかの話ではない。
「俺は、謝りたいんだ」
筆談コミュニケーションを図る。
「誰にですか?」
「誰にとかではなくな。だいいち、当事者はこの時代には年老いていなくなってるだろう」
「じゃあ、赦すも赦さないもないじゃないですか?」
「赦しを請う訳ではない」
アドルフは紙を並べて語る。ただ謝りたいだけなのだ。
「無駄じゃないですか。アドルフさんは何を謝るですか」
茜は中学生である。純心さとバイタリティはあるが、人生の深みはまだ知らない。アドルフの気持ちは深みの範疇だ。
「俺は妹を失い、世界に復讐をした。そんな単純な話しではない。その復讐の過程で幾多の人々の人生に影響を与え、世界に影を落としてしまった。当事者がいなくなって済む話しではないのだ」

「でも、それと東京と何が関係あるですかっ」
世界に謝りたいのは(不承ながらも)わかった。しかしそれは旅立つ理屈にはならない。
東京の方が、何かと調べやすいからだ」
「この世界のこの時代にはインターネットがあるですっ。ここに居ても、大差ないですっ」
首を振るアドルフ。
「残念ながら、地方は中央に勝てない。日本ならばなにがなんでも東京なのだ。麻衣子と同行するのは東京までだ。俺は世界中を旅して回りたい。そのためにも東京なのだ」
これも「深み」の問題だ。アドルフはただ東京へ行くのでなく、東京を足掛かりに旅を始めるというのだ。
「こんな小さなからだで、頑張るのですか」
むぎゅ~
強く抱き上げる茜。
「わたしだって、あなたを人間に戻すために頑張るですっ」
さめざめと涙する茜だった。
「ぴよぴよ!」

苦しそうなアドルフさんだった。

俗に、初恋とは叶わないものだという。
しかし、茜の初恋はまだ当面終わりそうもないようである。
お互いに相手のために頑張る関係、そこに「これでいいのかな」という思いが出てくるのはまだ先の話しのようである。


続く

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