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それを認めることは、自分しかできないのだろうけれどそれを避ける手立てはないということに気付く

2009年10月08日 23:55

それを認めることは、自分しかできないのだろうけれどそれを避ける手立てはないということに気付く

台風の前にそそくさと、
でもなく
予兆のように
垂れこめる雨雲
昏い街並の、
さらにうすぐらき新富町路地裏にて、
贅沢なランチ

銚子三本
蕎麦味噌
山芋醤油漬け
玉子焼き
焼き海苔
もり蕎麦
蕎麦豆腐

何年振りだろう?
海苔焙り、に乗る焼き海苔、美味

荒川良々を細くした感じの若き店主
黙々と板場にて料理に打ち込む
やや、造作の派手な女将、
年の頃なら三十路そこそこ

よほど厳しい老舗にて修行したのだろう
佇まいは驚くほどつつましく
交わす言葉はおろか、
蕎麦をすする音以外、
不要とさえいわれそうな静謐に満ちている

S氏、仕事で外出
岩手銀河プラザにて胡麻擂り団子
5時過ぎ、オフィスを出、メール
雨も上がったので、帰途上の駅にて待ち合わせ

またしても、蕎麦
そういえば、Sさんも昨日、蕎麦ディナーだったと言っていたっけ

二度目のHS
前回と同じく、まったくの貸し切り状態

秋刀魚刺身
季節野菜の盛り合わせ
ラガー中瓶
枡酒
にごり梅酒
もり、二枚



冷たさと
温かさの入り混じる
ややぎこちない、会話

リラックス、しているのはわかるけれど
向いあっているのが
このボクである必然性
いつまでたっても、
生まれない

肌を合わせている時だって
同じなんだから
いくらなんでも、ただ美味しいものの載る
テーブルを挟んだいま、
それは無理、ということ、なのだろう

「ごめんね
もうちょっと、グチってもいいかな」

よほど面白くないことが
重なったのだろう
なんだか、いつになく、
饒舌なキミでは
あるのだけれど、
にもかかわらず
ボクはとても孤独
のような気がして
とても、寒い

けれどボクは、
いつものように
優しい微笑みなんぞを
口の端に浮かべながら
キミの話に
耳を傾ける

なにが
どーなんだか、
よくわからないまま、
あぁ、他の誰でもないボクには
何も話してはくれないんだな、
なんて思いながら

この、寒さを
渇きを、餓えを
何に例えれば
いいだろう?

ボクは知っている

たったひとこと
口にさえすれば
キミは即座に
ボクではないひとのもとへ
赴くことを
そんな
誰にだって言える言葉を、携えて

いくら塞いでも
いくら熱い脈を伝えても
閉ざされ、溶けぬままの
くちびると、こころ

もう、無理、なんだろうと
とっとと認めなさいよ
自分からさ・・・

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