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約束

2009年01月10日 16:32

約束

期待していたのに、
降るぞ降るぞと
触れてまわっていたのに
結晶の欠片さえ
落とすことのなかった
ただの、
冷たくくすんだ空

でもボクは
いそいそと、
時間をやりすごす

そして、もう
当たり前のようにキミに会う

駅裏の、
風俗街の、
そのまた裏側に広がって伸びる隘路を
左に折れ、右に曲がり
賑々しく続く看板灯の案内に従って
三分もすすめば
そこにはあったかな空気と
胃袋をくすぐる匂いと
酒瓶の並ぶ部屋があって

おなかの減り具合は、どうなんだろう?

なんて訊ねつつ、
ひるめしも摂れぬ忙しなさの中
おやつどきに齧った
くるみパンのせいで
さほど空腹を感じていないボクは
近眼でメニューが読めないキミの
おなかの中を、
推し量ることもせず
またきょうもひたすら、
自分を語ってしまった気がする

でも、
キンキンに冷えたグラスワインにぴったりな肴が
ぽつりぽつり、と
目の前にあらわれるたび、
キミの上げる、
こどもぢみた声は、
ボクに満ち足りた思いを
運んでくれる

それから、もう少しだけ
寒さを一緒にしのぐ時間が過ぎて
もう少し、
もう少しが、重なって
おやすみ、を越せない
越すつもりもないボクとキミは
駅の改札の前で
おやすみ

さよなら
を交わす

物理として
ボクは今日
初めてキミに触れた

まるで自分の指紋を恐れる
切手コレクターみたいな
恐ろしく幼い
用心深さをもって

けれど、
なぜだろう
惹かれている
とは思うけれど
なんなんだ、
このぽかぽか、という感情は

とがったところのない
恋愛とはほどとおい、
たとえば
「博愛」
なんていう言葉が似合いそうな
こころの模様は
痛みを避けようとする本能が
描いているものと
思えなくもない

そして
ひとりの部屋に戻り
眠さに負け、深い眠りに落ちている間に
ふたりの部屋に戻ったキミから届いたメールには
その部屋の一隅を写した写真
添えられている

したたかに酔った頭は
それを要求したことを
朧にしか覚えていないのだけれど、
問題は、ボクがキミに
その見返りとして
何を要求されていたか、
ということで。

何かを送る、といったことだけは
覚えているんだけど
いったいボクはキミに
何を約したのだろう?

このデジログへのコメント

  • ちょこ 2009年02月01日 00:22

    足跡だらけにしてます!どのログにもステキな想いがいっぱいで読むのが止まりませ…

  • callo 2009年02月01日 04:49

    > ちょこさん

    せっかくコメント、書いていただいたのに、読めないんですよね。
    なんて不自由なんだろう・・・
    なんて、もう、諦めていますが、それが掟、というやつで
    なんなら試しますか?マイミク?(笑)

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