其の六拾 攻防

『ねえ､ちょっと舌出してみてよ』

｢ん?嫌だよ～何で?｣

『いいから出してみて』

｢......べぇ｣

『ははは､犬みたい』

｢もうっ!何やらせるの!?｣

『ねえ､もう一回出してみて』

｢えｰっ!もう嫌だよっ!犬とか言われるし...｣

『じゃあ､もう言わないから出して』

｢何がしたいの?恥ずかしいんだけど...｣

『舐めたくなっただけ』

｢えっ?何?どうしたの?｣

『はい､でこに手当てないよ～熱ない熱ないよ～』

｢こんな人が行き来してるとこで言う?普通｣

『そんなの関係ないでしょ!?

だって､近くで見てたらｷｽしたくなったんだもん』

｢しｰっ!声でかいから!｣

『別に普通じゃない?夜なら言ってもいいの?』

｢そんな事はないけどさぁ...｣

『ならいいじゃん』

｢えっ?えっ?ここでは嫌だよ...｣

『じゃあ､何処ならできる?』

｢...｣

『そのできる所に行こうか?』

｢...ぇろ｣

『知ってんじゃん!て､それはお互い様でしょ?』

｢もう...行こうょ｣

『俺､恥ずかしがる顔も好きだからね』

｢...それも知ってる...ぇろ...｣

『自分から手握って引っぱってんの誰?』

｢...意地悪しないで...｣

『その顔可愛いね』

｢...ん～...もぅ｣