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考えさせられた話:平凡で非凡なプロ
2013年09月17日 23:31
私は倉庫の一番奥まで行って、暗い壁に頭をくっつけた。
そして暫く、無言のまま絶望に身を任せた。
「こんな仕事を一生続けていくのだろうか?」
学校を出て2年、私は人間味の乏しい、給料の低い、将来性のない職場にいた。
それまで私は、自分の仕事について考えることを避けて生きてきた。
しかし、この瞬間、恐ろしい程の疑問がむくむくと湧いてきた。
身体中から力が抜けていくような気がした。
会社を早退し、家に帰ってベッドに潜りこんだ。
毛布を頭まですっぽり被って明日について、いや、将来についての全てを忘れようとした。
あくる朝には、やや落ち着きを取り戻したが、気分はいっこうに晴れなかった。
欝々としたまま出勤し、どうしようもなく退屈な作業に戻った。
その朝は数人の新顔が来ていた。
私以上に地位の低い臨時雇いの労働者だ。
その中の一人が私の目を引いた。
他の男よりも年長で、制服のような仕事着を着ていた。
うちの会社には制服なんかなかったし、会社は社員が何を着ていようと無関心だったのに…。
ところが、この男はきちんとアイロン掛けした茶色のズボンに、仕事用のシャツを着て、胸ポケットには「ジム」と名前の縫い取りまであった。
自前の制服に違いない。
私はその日一日じゅう彼のことを見守った。
その後も彼が会社を去る日までずっと注意して見守った。
彼は遅刻せず、早く来すぎることもなく、自分のペースで仕事をした。
誰からも好かれたが、仕事中は私語を交わさなかった。
規則通り、午前中に一回、午後に一回の休憩をとったが、他の者と違って、休憩が終わったらすぐに仕事に戻った。
社員の大半は、自動販売機で買った食べ物と飲み物で昼食をすませる。
しかし、ジムは昔ながらのスチール製の弁当箱に詰めてきた弁当を食べ、魔法瓶に入れてきたコーヒーを飲んだ。
弁当箱も魔法瓶も、使いこまれた年代物だった。
昼食を食べた後は、テーブルをきちんと片付け、時間通りに仕事に戻った。
兎に角、彼は見事だった。
彼こそ、経営者達が切望するタイプの社員に違いない。
しかも、彼は皆に好かれた。
決してテングにならないからだ。
与えられた仕事は手抜きせず、やりすぎもせず、きちんとこなす。
噂話をせず、不平を言わず、言い争わず、ありふれた労働でしかない自分の仕事に打ち込み、たとえ単純そのものの仕事であっても尊厳をもってやれることを、その態度で証明した。
彼の全てが、彼こそは本物のプロであることを物語っていた。
労働そのものはありふれたものだったかもしれない。
だが、彼は決してありふれた人ではなかった。
臨時の仕事は終り、彼は職場から姿を消した。
しかし、彼が私の心に残した強烈な印象は消えなかった。
彼と話をしたことはなかったが、彼のおかげで私の考え方は180度変わった。
私は、彼のようになろうと心に決め、精一杯努力した。
弁当箱を買ったわけでも、制服を用意したわけでもない。
ただ、自分自身に新たな目標を設定したのだ。
自分の仕事をきちんとやりとげるビジネスマンとしての自覚をもって働いた。
するとどうだ。上司が私の努力に気づき、昇進させてくれた。
それから数年後、私は別の、もっと給料のいい会社に転職した。
そして幾つかの会社を経て、ついには自分の会社を始めることができたのである。
私は勤勉と幸運によってこの成功を手に入れた。
しかし、最大の幸運は、あのときジムと出会い、仕事とは何なのかを学べたことである。
人が尊敬されるかどうかは、仕事の種類によって決まるのではない。
その仕事にどう取り組むかによって決まるのだ。
こころのチキンスープ7
ダイヤモンド社より
…考えさせられました
このウラログへのコメント
おはよう!いつもいい話ありがとう・・!そうですよね!その仕事にどう向き合い取り組むかの姿勢が大事
霧隠才蔵さん:有難うございますまだまだだなと改めて思わされました
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