誰か家にいるから...

安心して、
昼寝が出来るのか。

誰も居ないから
安心して、
昼寝が出来るのか。

∴ ∴ ∴

階下で
動めく人の気配
階段を
通して過ぎて行く
風...

玉蜀黍を
茹でている匂い、
煮具合を見る
母の手つき....
の物音、

枝豆の湯気が、
立ち昇り、
ジャガ芋の男爵を
蒸す匂い...

聞き馴れた
近所のおばさんの
声...
笑い声、返す声高く、

眼が覚めて、
昼寝から
じっとりとかいた汗、
背中についた
畳の目...

してみると
家人が居たから
起こされたので、
寝入る時も
覚める時も、

階下に
誰か居たから
眠れもし、
起こされもしたのか...

それが宅急便なら、
怒りもするし、
新聞の勧誘なら
お断り...

テレビの音でも、
ラジオでも、
誰かそこに居るという
気配で、安心して
眠れる...

眠れない...

夢の中でしか
聞く事の出来ない
声...
笑い声、
人を迎えて高くなる
声...

西瓜を切り落とした
まな板の音、
瑞々しいその
匂い...

昼寝から覚めて、
べったりとついていた
畳の目...

ランニングの背中の
兄に
ついていた西瓜の
種.......