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びちょびちょ冷たい雨の降る日に

2005年11月25日 05:08

いつもの如くスーパーへ買い物に出ようとしたけれど、来週あたりからこの分では霙になりそうな冷たい雨がびちょびちょ降っていて少々鬱陶しい。 けれど、この買い物はは毎週のこと、仕方がない。 まあ、車で出ることだから途中の10分ほどラジオかCDを聴いていればいいさ、と腰をあげた。

溜まった新聞や包装紙、空きビンを分けて近所の置き場に持っていくのに箱を幾つか雨の中、車に積み込んでいたら、大柄の黒人若者が道を聞く。 この近くに工業団地はないか、との問いで、そこへ行かねばならぬのだという。 この雨の中、傘もささず雨具もつけず、濡れたままだ。 1kmほどまっすぐ運河に沿って次の橋を左折すれば、煙突はないけれど配送や組み立ての企業が集中している地区があり、そこかも知れないと答えたのだが、そのとき、その大柄の青年にそこまで乗せていってくれないかと請われたが私はそっけなく断った。 そして、彼は雨の中そのまままっすぐ目的地を目指して歩き始める。

車はそちらの方を向いて駐車しているものの古紙、空き瓶の回収ボックスは別方向、かなりの回り道になるのと、車の中での暫しの安寧が妨げられるのが理由であったが、方向が違うと言うのが言い訳がましくて説明するのが面倒だったから冷たく断ったわけだ。

車の中でこれはまた、人種差別の種にされるかなと思った。 もちろん、私に直接あてつけたものではないだろうが、なにかの折にあの青年が、あれが白人だったらあのアジア人、乗せていたはずだぜ、というような感想を漏らすかもしれない。 もし、彼にアジア人の知人がいなければアジア人に対する嫌悪感を新たに生まれさせてたのかもしれない。

やっかいなことだ。 そこで、考えてみる。 白人の男が同じように、同じ条件で私に請う、同じ条件で。 私には同じことだ、返事に変わりはない。 普通は、人は簡単に赤の他人にものごとを頼まない。 これは皆周知のことだ、安全の理由から。

今までにこのような経験がいくつかあったが、基本的には乗せないし、常識では簡単にに頼むものではない。 どちらにしても人の車にその場で乗るものではないし、乗せるものでもない。 第一この冷たい雨は一日中降っているのだ、それなりの用意をするのがまともなもののすることだ。 それをしないというのは自分でそれを選んだということなのだから。

車を走らせて、再生紙、空き瓶の回収所でかじかんだ指を今年初めて車のヒーターをつけ暖めた。 冷たい湿気がヒーターの熱でフロントガラスや周りにミルク色のフィルターをつけるのをファンで吹き飛ばし徐々に視界を確保しながらスーパーマーケット駐車場に車を入れて外に出た。

わたしが出ると同時に一台の小さい車がわたしの隣に駐車してある明るいワインレッドの中型車の脇に入ってきたのだが妙な音がした。 左前方の鼻先でこの赤い車をこすったのだ。 凹みとともに白いスクラッチが何本かついている。 運転席から出てきたのは80歳を越したかともおもわれる白髪の小柄の老婆である。 赤い車から出てきて、これ、おととい届いたばかりの新車なのに、とぼやいているのは40前とみられる主婦然とした中柄の婦人。 

老婆は言葉すくなにぼそぼそ言い訳がましいことを言うが、はっきりとした謝罪の言葉はださないし、被害者の夫人も言葉は荒立てずにダッシュボードから、そそくさと保険会社事故状況報告書の書式を出してこの老婦人を自分の車の助手席に招き、処理に入る。

私は自分の毎週の買い物をするべく、そぼ降る雨をスーパーの入り口へ急ぎ、てきぱきと毎週のことを半時間ほどで済ませ、以前にこのコラムで書いたのと同じような内容をカートに山盛りにして戻ってきたが、外は既に暗くなっている。

で、私の隣の赤い車、既に暗がりで色は定かではないが、これには明かりがついて二人の影が中の人気と外の冷気からできた曇りガラス越しにぼんやりと見える。 この人たち、夕方の忙しい時間を小さく陰気な駐車場の車の中で肩をならべている。 どちらにしても、ぶつけるほうも、ぶつけられるほうも、こんなびちょびちょのいやな陰気な宵になんとも因果なことだ。

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