悪魔の停宴

つぶれたカエルのように

床に張り付いたまま

小刻みに身体を震わせる深水

アナルにはまだバイブが突き刺さったまま

まだ快楽が身体に波のように広がってるのか

絶叫とは違う嗚咽のような声がもれている

「ぁぁぁぁっ　ぁぅぅぅ　ぃぃ」

体力的に限界かと思われるが

まだ身体は快楽を求めている

床に身体を押し付けて

いや　擦り付けて

快楽の余韻に浸ってるわけではない

これは　床を使って身体を慰める

昔　マニアな男が知り合いにいた

いや　やつはマニアではない

変態だな

わたしも十分変態に違いないが

彼は　犯罪者に近い

何十年も前の話だが

わたしと松山　そして田村

それぞれがした女の衣類

下着でも靴下でも服でも何でもいい

欲しいと言っていた

特に害はないだろうと思い

わたしらは彼にそれを渡した

ある時　わたしは彼に聞いた

「ところで　うちらのあげたやつ　」

「あ、おう　なんだい」

「なんに使ってるだい？」

「あれか　うん　役に立ってるよ」

「匂いでも嗅いでるか」

「おう　枕とシーツにしてる」

「ふむ」

枕はわかる　匂いを嗅ぐのだろう

しかし　着るとかならわかるがシーツ？

「シーツにして何を？」

「うっひゃひゃひゃ」

うーむ　うちらに品があるとは思わないが

品のない笑いだ

「押し付けてる」

「ふむ」

押し付ける

そのキーワードからわたしは考えられることを推測した

そしてひとつの結論に達した

彼は　枕で匂いを嗅ぎ

股間の紳士をシーツに押し付けオナニーしてるのだと



今の深水の行動派はそれそのものだった

煮詰まりすぎて暴走モード突入

今のこの時点で　誰かがここに乱入し

深水の尻でもつかんだなら

絶叫を合図に完全暴走モードに突入するだろう



蝋燭でも買っておきゃよかったかな

この状態の深水に　溶けた蝋を一滴

ポタリと落とせば



鞭でもいいかもな

バイブを咥えたままヒクヒクと震えるこの尻に

ピシャッとスパンキング一撃



間違いなく絶叫とともに

一気に深いとこに沈み堕ちていくだろう



深く刺さったバイブに足をかけ

さらに奥に押し込む

「んああああああああっ　」

そしてゆっくり弧を描く

「あひぃぃぃぃぃ　ひぃぃぃ」

「メス犬」

そう言葉を投げかけてみる

「あひぃ　あっあっ　あああああっ」

やはり　鞭か蝋燭が欲しい

次回はネットで購入しとこう

深水の髪をつかむ

「深水七海」

「あひっ　あああ　はいっ　あああああ」

「君はわたしの何だい？」

「ひぃぃ　わ、わたしは、ひっ　はっ」

「わたしは？」

「や、やがみさんの」

「うむ」

「ああああ　あなです」

ちょっと待てよ

お前ってやつは

段取り無視するんじゃないよ

ああ　だからこいつはイラっとする

じっくりと身体に染み込ませていくとか

刻み込んでいくとか　

そういう楽しみを奪う

こうなりゃ　ゴールを遠くする

さすがにそこまでには止まるだろう

「わたしの穴だな」

「はいっ　はっ　いやらしい穴です」

「わたしの命令なら何でも聞く穴だね？」

「はいっ　なんでもします」

「誰でも飲みこむ穴になれる？」

「えっ　それは　あん　いい　んはっ　はい」

顔を床に伏せ　尻を自分から突き上げ

大きく振り続ける

その遠心力でバイブが中をかき回してる

そんな気がする

「あひっ　んあああああ　

あ　　あひ　　んあ　　　あ」

いったのだろうな

大きな動きが止まった

たぶん　今　あることをしたら

深水は一気に弾け飛ぶだろうな


深水の髪をつかみ顔をあげさせる

そして涎やら鼻水でべたべたな顔を舐める

いい加減　こういの慣れてきたな

そしてキス

やっぱり　〆はキスだね

「んはっ　んんん」

そして　わたしは右手を上げる

左手は深水の肩からうなじに

そして髪を撫でる

そして右手を開き力強く振り下ろす

「ひっああああああああああああああ」

パーンという小気味良い音と同時に

深水の絶叫が耳元で聞こえた

この至近距離の断末魔に似た声

心地いい

深水は再び床に這い蹲る

失禁までしたようだ

尻と開いた裏腿の間に水溜りが広がる

床でよかったな

絨毯だったら困ってしまうとこだった

再び放心状態で床に張り付く深水

失神はしていない

しぶとい子だ

ただ　ある意味　それは幸福であり不幸だと思う

その快楽を感じてられる幸福

快楽も過ぎれば苦痛になる

そして苦痛が過ぎれば快楽に

このエンドレスなループ

快楽の最中で意識を失えれば

どんなに幸せなことか

この子はその天国と地獄を回り続ける

そして　ゆっくりと身体が戻っていく

意識がはっきりしてきたところで訊ねてみる

「深水　お前は何？」

まだ　焦点の合わない視線をわたしに向けて

「七海は、　やがみ様のあなです」

基本形は完成したようだ

バスルームに連れていき

身体をきれいに洗い

髪を乾かし　服を着せる

つかの間の日常に戻る

それでも従順な素振りを見せる深水の中に

多分　随時　非日常は駆け巡ってる

そんな気がする

悪魔の宴の一幕は下りる

多分　すぐに二幕目はあがる