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暴走する妄想

2005年12月03日 20:09

暴走する妄想

SEXのうまい女だった

だから俺がイキそうになったら外だしさせる

そう 思った だが 中で出させた

おかげで娘ができた

女が死んでも このベッドで過ごした思い出は残る』

かつて馬肉を売っていた男は娘を作ったパリの、あの“未来ホテル”26号室に戻ってきた

ATTENTION! 注意!
CE FILM CONTIENT DES IMAGES ET DES PROPOS QUI RISQUENT DE HEURTER LA SENSIBILITE DE CERTAINS SPCTATEURS
感受性を傷つける危険な映像と会話があります。


カノン」(1998年フランス映画


この映画はすべてのモラル正義に戦いを挑んだ元馬肉売り50歳やもめ男の物語である

人には人生がある 誰にでもあるつまらん人生が

これから話してやろう ありふれた馬肉売り(フィリップナオン)の人生を

チーズと腰抜けの国 フランス

1939年パリで生まれた

1941年母親に捨てられ孤児になる

終戦の時 父親の存在を知る 父親は共産党員で収容所で死亡 6歳だった

葛藤が始まる 教師は神の名の下に良心を奪った

14歳で生きるために精肉業界に入る

10年間 徒弟として働き 節約して 店を借りる資金をためた

30歳でパリ郊外に店を開く 初めは苦労したが2年で軌道に乗る

ようやく自立

若い女工に会い ホテル処女を奪う 女の工場の すぐ目の前の“未来ホテル

9ヵ月後 娘シンシア(ブランダン・ルノアール)が生まれた

女は赤ん坊を捨てて消えた

歳月が流れ 店はまぁまぁ繁盛 ローンで家を買い無口な娘を育てた

年頃になり胸が出て来た やもめ男は欲望と闘った

そして悲劇が・・・娘に初潮がきたのだ

痛みに驚き 娘は店に急いだ

途中で娘が誘惑され 隣人に助けられた

男は娘が強姦されたと思い込み 包丁を手に犯人を捜しに出た

工事現場に若い男がいた 犯人と信じて若い男の顔を刺した

男は傷害罪で刑務所へ 娘は施設へ入れられた

男は娘に手紙を書いた

家と店を売り保釈金を作り ようやく自由を手に入れた

生きるためにカフェで働き 女主人の愛人になった

女は妊娠を機に別の町で再出発しようと提案

女はカフェを売り 馬肉の店を開くという

男は承諾した

娘に別れを言うため 初めて施設を訪れた

娘は無言だった

翌朝 女と一緒に車で出発した 暗いトンネルを抜けられると信じて

リールの女の実家に居候になり店を探した

住み慣れたパリと違い 北の町は寂しく陰鬱だった

男は初めてよそ者になった

収容所で死んだ 父の顔が浮かんだ

男は過去と娘に対する気持ちを封印した

娘への愛も それは正に愛! 誰にも言えない愛!


北の町 リール郊外 1980年1月3日

女は気が変わり、男に馬肉屋を開かせるという約束を無視
自分の食い扶持くらい自分で稼げと言い出した
あっけなく気が変わった女と、女の母親の顔を見るのにうんざりしていた男は、女の母親の紹介で老人病院夜勤に就く

『誰でも自分の金は自分で守る 他人は他人だ』


ドビュッシー病院 1980年3月18日朝4時

退屈な毎日に嫌気が差してくる
そんな折、一人の老婆の死を若い看護婦と看取る

『死なんてあっけないものだ 大騒ぎするが 大したことじゃない 命が消えるだけだ 人も動物と同じ 愛玩し 死んだら埋める 俺は初めて悟った 
誰だって一人で生きている 恋人と暮らそうと子供がいようと 人は皆 孤独
俺も孤独 彼女(若い看護婦)も孤独 生まれる時も死ぬ時も孤独 どんな時も孤独・・・
SEXする時も孤独 肉体孤独 命も孤独 誰とも何も共有することはない 
歳をとれば孤独が増す 過去の記憶も次第に消滅する そう・・・』 


パブロ・ピカソ団地 同夜

男が女の実家に帰ると、女が怒涛のごとく突っかかってきた
今朝、落ち込んだ若い看護婦を家まで送った姿を女の友人に目撃されて、それを聞いての勘違い
男は今までの居心地の悪さに我慢出来なくなり、女を殴り、腹の子も殴り、3発の弾丸が入った銃を手に家を飛び出す

『人生をやり直すんだ パリで 一度堕ちた身だ
 とことん堕ちてやる そう 地獄の底まで 俺なら出来る それで勝てる そうだ すぐに実行だ 俺には銃がある よし つまらん人生にもう一章つけ加えよう“毒蜘蛛の巣からどうやって逃げ出したか”』

この後向かった先がかつて娘を作ったパリの“未来ホテル
所持金は300フラン
男の前に、仕事を探す過程で様々な人間が立ちふさがる
オカマのカフェ主人親子、畜殺場のホモ所長etc

そして、ある事を決心した男は、あの、生まれてから口のきけない娘に再会しに行く

美人になった 誇らしい カラダもイイ 母親よりもずっとイイ』

男の妄想は理性を超えてしまうのか!!!


先日書いた「カルネ」の続編です
アヴァンギャルドを超越した衝撃的かつスタイリッシュな映像で男の妄想が描かれています
冒頭からラストまで、男はセリフを殆ど喋りません
喋るとすれば、罵倒するシーン。。。くらい(苦笑)

妄想は「カルネ」を遥かに上回っています!!
もう誰も止められない!!
しかも、全編を通して、ネガティヴな思考なので、聴かされている方はウンザリ
悪態を突きまくり、罵倒しまくり、娘への愛?欲望?への自制は限界まで達します

途中でスクリーン一杯に出てくる
ATTENTION」
「DANGER」
の警告はまんざらウソじゃありません。。。
精神と肉体が弱っている時は観ない方がいいでしょう。。。

ただね、ただ、これだけネガティヴな思考でありながら、それを更にパワーにしてしまう辺りが素晴らしい!!
論理性のない思考はこの男にとっては絶対的であり、これが、この男の「姿勢(スタイル)」なんですよ!
共感は出来ないにしろ「哲学」を持っている
これは、生きていく中、誰にしろ、必要な事ですよね!
まして「哲学」を持っていない人間に私は魅力を感じない
だから、ネガティヴでありながらも「スタイル」を築いているこの男は魅力的です!

「MORALE(モラル)」と「JUSTICE(正義)」
この男にとっては自分自身なんです!

『今は軟弱すぎて革命もできん 今こそ復讐に立ち上がる時だ 俺のようにな 皆が立てばいい 俺がロベスピエール{18世紀フランス革命期の政治家恐怖政治(Terreur、テロ語源)を行った人物}になる 俺を拒絶したブルジョワ野朗から血祭りだ フェラで稼ぐ物乞いに落ちぶれろと? それが目的か? 本物の暴力を教えてやるぜ 50年積み重なった屈辱を6分で味あわせる 最高の苦痛をな 残念だが反省する間も与えない それは家族か友人の役目だ 金持ちってヤツには友達が多いからな 俺の友達は銃だけだ』

モラル=男の思考

正義=銃

無茶苦茶ですけれど、この男は世間から落ちぶれて、もう、どん詰まりで、残ったのがこれだけだったから。。。

世間の「モラル」と「正義」とは無縁の男だから。。。

この男観ていると、なんだか安心します(笑)
私、ここまで落ちぶれてないなぁって!
ここまで落ちぶれたらオシマイだなぁって!

だから、観方によっては逆にプラス思考になれる作品かもしれません

もう最低最悪の展開を迎えますが、やっぱり愛は人を救うって思いました
(^^)
世間の「モラル」とは無縁のハッピーエンドを迎えます(笑)

『お前と寝ようと寝まいと 世界は変わらない 俺たちが変わるだけだ 人は皆 自由だと思っているが 自由はない 他人が勝手に作った法に縛られ 不幸に閉じ込められてる だが お前への愛を罰せられる法は 1つしかない 何か? 禁じられた愛への罪ではない 愛しすぎる罪だ だが 真実はたったひとつ JE T’AIME それだけだ』

このウラログへのコメント

  • tarashi 2006年08月23日 19:03

    destrictedなる映画が封切られるそうです(本国で)。http://www.destricted.com/

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