宝物

朝寒くて冬のコートで外出したら、昼にはポカポカ暖かくなって、コートでは少し暑いくらいになった


デパ地下で弁当を買って、恋人を誘い、表でランチがいい日和だ


公園のテーブルにクロスを敷いて、弁当とコップが付いたワインを広げると、紅葉した葉がヒラヒラと彩りを添えてくれる


風が吹く度に大きな木が揺れて、思い思いの円運動をしながら朱色の葉が落ちてくるのを、彼女が嬉しそうに見ていた


キョロキョロと葉が落ちてくるのを目で追っている彼女を愛しく感じ、私は彼女の事しか見ていなかった


視線に気付いた彼女が「ん？」と言うから

笑いながらワインを注いだ


小さな彼女の体は私より冷えるから、日向に彼女を座らせて、並んで秋の終わりを眺めていた


愛しい時間はあっという間に終わりを告げて


また会う日まで…


お互いに家庭も仕事もあって、師走のこの季節は次の約束もままならない


たった1時間を宝物にしたくて、往復2時間も苦にならなかった


2010年今頃の宝物のような思い出