メル友

次の日も、そして次の日も、おはように始まり、おやすみで終わる。そんなメールを続ける。
彼女には子供が2人いた。中学2年生と小学校6年生。彼女が20歳の時に最初の子が生まれたという。
旦那は高校時代から付き合い、そして子供ができて結婚した。いわゆるできちゃった婚。その旦那も三交代制の職場のために、あまり顔をあわせることもなく、だからこうしてメールも自由にできると。
お互いの年齢が分かり、家族構成が分かり、住まいが分かり…徐々にお互いのことが分かってきた。見ず知らずの男と女が、まるでお互いのカタログをめくるかのように知っていく。知りすぎていく。
約1ヶ月、彼女とは毎晩必ずメールで話をした。今日何があった、今日何を食べた、あまりにも他愛もないことばかりではあったが、それが楽しかった。彼女にとっても私にとっても、初めてのメル友であったから。
あの着メロ、今夜も鳴った。毎日のことなのに、響くメロディにほっとする。
ある日は昼間に突然響く。こんな時間に？何かあったのか！？そんな心配もするようになる。それも自分にメル友という存在ができたから。些細な幸せなんだ。