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穴熊囲い

2006年05月14日 22:08

木製の将棋盤に駒を打ち付けるときの音が痛快だったことを覚えている。
将棋に夢中になっていたのは小学3年生の頃でした。
遊び方を教えてくれたのは父でした。今にして思えば、子ども伝統的な遊びを伝えたいというよりも、自分の対戦相手が欲しかったというのが理由なんでしょう。けれど、それはともかくとして、当時のエンドウさんはそのおもしろさにのめり込んでいきました。
手持ちの駒を交互に動かしながら相手の王将を詰むことを目的とする対戦ゲーム。それぞれの駒に特性があり、行動範囲として現れます。一歩ずつしか前進できなかったり、斜め方向の長距離移動ができたりと様々です。また、相手の陣地に駒を進めれば「成る」ことができます。駒の特性が変化したり強化される戦術です。
相手の王将を詰むことを目的とするわけですが、単純にことは進みません。相手は詰まれないように逃げたり他の駒で防衛しますから、戦略が必要になります。そのためには駒たちの特性を活かし、先を読んだコンビネーションで守りを崩していくことになります。だから「詰み」ということになるわけですね。

攻めることはもちろん大切ですが、それだけでは守りが疎かになります。攻撃に夢中になっているうちに自分の王将が詰まれてしまっては元も子もありません。
有効的な防御手段に「囲い」があります。将棋インドで生まれて中国を経て、奈良時代末に日本へと伝わったと言われています。なかなか歴史のあるゲームですから、長い年月が蓄積してきたものとして守りの定石が編み出されました。それが囲いです。
上方からの攻めに強い矢倉囲いや、横からの攻めに強い美濃囲いなど、様々な形態があります。数あるその中でも、エンドウさんは穴熊囲いを好んでいました。王将を盤の隅に移動させ、周囲をがちがちに固めるという堅強な守りです。
囲い込んだ分、攻め崩されるとまったく逃げ道がなくなってしまうという弱点もあります。そして、守りを完成させるのにはどうしても時間がかかってしまいますし、相手も待ってはくれません。そんなことを受けて、僕は次第に囲いを行わないようになりました。

将棋に熱中していたときから早くも十数年が経ちました。
同級生の多くはすでに社会人になっていますが、その一方で僕を含めて一部の人は学生を続けています。はたまたすでに結婚して家庭を持っている人もいるわけです。みんな一律で小学生というカテゴリーにいたあの頃がちょっとばかり懐かしくもなります。
そんな折、高校から付き合いのある友達より携帯電話を変えたという旨のメールが送られてきました。
登録情報を変更するのは面倒ですが仕方がないことです。後で皮肉ってやろうかと思いながら修正作業をしようとしたところ、ちょっとした違和感を覚えました。
メールアドレスの@以下が以前のものとは違っていたのです。要するに、彼女は単に新規契約を行ったわけではなく、携帯電話キャリア自体を変更していたのです。
普段なら気にするようなことではなかったのですが、僕はとある勘から理由を問いました。
返ってきたのは「彼氏ドコモだから」というものでした。

余計な思考が冴え渡ります。
熱愛中の彼氏と同じキャリアにしたいなんていう間抜けな動機ではないでしょう。よせばいいのに、僕はつまらない質問を投げかけました。
「いずれ家族割引にすることを見越してるのか?」
「まあね~」
そういうことです。この年頃になると、単純に好きだからとかルックスがいいからという理由ではなく、結婚視野に入れた付き合いを始める人が現れるのです。彼女も例外ではなく、機が熟せば結婚する気でいるようです。
一緒に生活したい相手がいるのは、友達として祝福すべきことでしょう。けれど、今は安直に祝うことはできません。明日に結婚式の案内が届いても、「おめでとう」と言える気がまるでしません。
結婚は良くも悪くも「守り」であるからだと思うからです。

それはすでに結婚している同年代の友人が自らの生活を守りと表現したことに起因します。
恋愛の末に結婚したので少なくとも精神的な面においては万事順風だろうと思っていたら、結婚後に相方の知らざる一面が浮上して我慢ならないという話を聞きました。
そんなに納得がいかないのなら、彼氏彼女の間柄のときほどことは簡単ではないでしょうがさっさと別れてしまえばいいのに、と思うのです。まだ若いんですから、他に道はあるでしょう。僕なんてスタート地点にすら立ってません。
しかし、もう新しい交際相手と巡り合う気がしないから今の彼女を大切にするという人もいますし、確証もなく今の彼氏が一番だから絶対結婚したいという人もいます。件の友人と同じく、早くも守りのスタンスを取っているわけです。
ただ、守りに入ったなら以降の生涯を守りきらねばなりません。子どもができたならば自分の人生を賭してでも育てる責任が生まれます。今は最愛パートナーであったとしても、10年20年と生活を共にするうちに見えざる一面がわかるようになり、愛想が尽きるかもしれないのです。そのとき、いったいどんな感情を見せるのでしょうか。堅く固めた守りほど、崩れてしまえば後がないのです。
特に同年代に言えることですが、守りを決めたのならば、たとえ10年20年後に何が起ころうとも受け入れる覚悟を持って臨むべきだろうと思うのです。覚悟のない感情は、愛ではなく無謀というのです。

ですから、家庭生活を守り続けている人には敬意を覚えます。
今の僕には身ひとつの他に守るようなものはありません。良いのか悪いのか。

このデジログへのコメント

  • えり 2006年05月15日 21:25

    えりは悪い事もして来たけどどんな事があっても家庭が1番大切だしこの幸せを守り続けたいと思う!!

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