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キラキラ

2006年05月29日 20:50

ちょっと前のことになりますが、近所に雑貨店がオープンしました。
中高生女の子あたりをターゲットとしているようで、それらしい品々が販売されています。実用性よりも見た目を重視した感のバッグや日用品アクセサリーの類。そして、背伸びをしたい子のためか、比較的安価ブランド物も姿を見せていました。
今まで縁のなかった部類のお店なので、一度は覗いてみようと足を運びました。
当然と言いますか、特に感動を覚えるようなところではありませんでした。性別を差し引いたとしても、ちょっとターゲット層から離れています。中学あるいは高校生の僕であったならばまた違った印象を受けたんでしょうが、今更という感が否めません。

まあそんなもんだろうと店内をぶらぶらしていたら、ある高校生カップルが目に留まりました。どうやら熱心にアクセサリーを見ているようです。
「ねえ、この指輪全然キラキラしてないよ」
「錆びてるんじゃねーの?」
「やだ~」
そんな会話の後、二人は他のアクセサリーを物色するために移動していきました。
雑貨店で販売しているものですからあまり高価なものではないでしょう。しかし、だからといって商品管理を怠って質の低下した商品を販売しているのは、サービス業としてよろしくありません。
どれどれと彼らが先ほどまでいた所を拝見してみました。確かに一対だけ光沢のないペアリングが展示されています。しかし酸化してくすんでしまったというわけではなく、意図的につや消し処理が施されているというのが正確なところでした。

見当はずれな会話をしていたカップルにちょっとばかり呆れてしまいましたが、そのコーナーに展示してある全ての指輪の脇に「ステンレス製」との表示がされていることに気づき、よりため息が深くなりました。
ステンレスは錆びにくい加工がしてあるために様々なものに使われています。熱さや冷たさに強く、汚れが落ちやすいので手入れが容易な上、リサイクルも可能なので高性能です。
難点を挙げるならば、アクセサリーに使用するには質感が安っぽいことでしょうか。アクセサリーというのは要するにハッタリなわけですから、見栄えがいい素材を使うに越したことはありません。その意味ではステンレスの光沢なんて高が知れています。
けれども、単に光り輝くものを求める感覚は若さ故なんだろうと思うのです。

はっきり言って「高校生はバカだなあ」と思っているのですが、決してけなしたいわけではありません。バカなことも必要な通過であるからです。
思い返してみれば中学生の時点で同級生よりも落ち着いていると言われていました。しかし、それはほんの一面で、年相応のこともやってきました。特に高校時代は最盛期でした。
当時、傍から見たらバカなことを率先してやることにひとつの価値がありました。また、進学校でないがゆえに生徒の個性に寛容であった校風も大きかったと思います。
どれだけ寒くなろうともカッターシャツだけで過ごそうとしたり、夏が過ぎて冬が訪れてもタオルを首にかけて校内を闊歩してみたり。何を思ったのか、官能小説読書感想文を書いて提出したこともありました。なぜか校内選考に残って冷や汗をかいたものです。
また、ボランティア部なるものに所属していたので月に何度か特別養護老人ホームなどを訪問していました。ボランティア先の休憩室にテレビがあったので、プレステを持参してゲームに興じたこともあります。昼食の時間を差し引けば10分にもならないというのに。
数え上げればキリがありません。反社会行為を除く様々なことに目を輝かせて、大いにはしゃいで、楽しんでいたのでした。

行為だけ取り上げれば、みっともないだけの悪ふざけです。しかし、その無意味のような行動の積み重ねが、後に成長のための通過儀礼として意味を持ったのだと思うのです。
僕が通う大学には新入生オリエンテーションのひとつとして春期セミナーという催しがあります。みんなが仲良くなるために泊り込みで遊びに行こう、という企画です。
最大の目玉キャンプファイヤーの際にゼミ単位で披露するパフォーマンスです。観客を楽しませるためには、必然的に創意工夫を凝らした内容を考え、みんなで練習に励むことになります。その過程と結果にて新入生同士が仲良くなり、共に学ぶ態勢を整えるというような狙いがあるわけです。
くだらねえと思いました。
学ぶために大学に来たというのに、この期に及んでお遊びをするのは納得できませんでした。盛り上がって一丸となるゼミ員を横目に、僕は距離を置くようになったのでした。

5歳の子どもに3歳児向けの遊びを示しても「つまんない」と一蹴されてしまうように、僕にとって春期セミナーとは、すでに通過した場所に引き戻されることに他なりませんでした。存分に遊ぶことは高校時代に終えているのですから。
しかし、新入生の大半は受験を勝ち抜くために遊ぶことを控えてきた人たちなのでしょう。ですから、抑圧されてきたものを発散できる機会を提供したいという意図があったのかもしれません。
ただ、右も左もわからない新入生を楽しい遊びに取り組ませるのは、大学のイメージをそれと混同してしまう危険性をはらみます。むしろその危惧が現実となるほうが容易いので、危うい試みといえましょう。

高校時代はいろいろとバカをやっていましたが、今となっては楽しい思い出としてあります。けれど、そこに戻りたいとはまるで思いません。
あの頃に戻りたいと思うのは、その地点を心が通過しきれていないからなんでしょうね。

このデジログへのコメント

  • えり 2006年05月30日 20:09

    (あの頃は良かったな~)って思う事はあるけど戻りたいとは思わない。今の自分が1番幸せだと信じたい。

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