デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

育児ノイローゼ寸前の人妻が、W不倫で乱れた結果……

2023年06月30日 14:21

ガチャン、ガチャン!
「ああっ、またやっちゃった!」
キッチンの後ろを振り返ると、子ども用茶わんが床にひっくり返り、雑炊がテーブルと床にぶちまけられていました。
冷めた食べ物を嫌がる娘のため、おかずのチキン煮込みを温め直そうと目を離した隙に、娘が茶わんを床に落としたのです。
1歳の娘が、食器を床に落とす癖があることはわかっていたのに。私は自分を責めました。
0歳の頃よりはるかに重くなった娘を寝不足の身体でおんぶしながら、小さく刻んだ野菜を煮込み、一生懸命作った雑炊が、ムダになってしまいました。
「エーン、エーン、マンマー」
「ああ、ほら、雑炊はもうナイナイだから、こっちのお肉食べよう?」
「イヤアーッ! ギャー!」
育児が、身を粉にして子どもの世話をするのが、こんなに大変だとは思わなかった──
この1年半、何度そう思ったことでしょう。
でも、そんなことを思ったところでまったくのムダであることも、何度思い知ったことかわかりません。
特に大変なのは、子どもの食事と、私の睡眠不足です。
食べ物の好き嫌いが出てきた娘は、昨日まで喜んで食べていたものを、翌日になると嫌がって食べないことがしょっちゅうあります。
栄養バランスを考えて手作りした目の前のご飯をひっくり返すのに、お腹が空いたと泣く。ごはんーと言うことはできるが、何を食べたいかまではまだ話せません。
「お肉も、お米も、パンも、フルーツもイヤなの? 困ったなぁ、一体、何なら食べてくれるの……?」
子連れの買い物は想像以上に大変で、先週末から行けていません。ネットスーパーの注文も忘れていたため、今日はもう、他に出せるものがありません。
夫は、連日仕事で深夜帰りなので、今日も1日ワンオペです。

こんな毎日の話を、誰かに聞いてもらいたい──。
でも、独身や、結婚していても子どものいない友人しかおらず、育児のグチなんて話せません。
それに、育児のグチを話してしまうと、これから子を持つかもしれない人へ、子育てマイナス面を植え付けているようで、自分が嫌になります。子どもができたらグチばかり、そんな人だったんだ、と思われるのも嫌です。
子どもはかわいい。けど、今の私は色々なものに押しつぶされそうになっています。
私の素性を知らない人に、育児の大変さを洗いざらい聞いてもらいたい。けれども、今、そんな人はいないのです。

夜になると、運良く寝かしつけがうまくいき、娘はスムーズに眠ってくれました。
今日は、せっかく、少し早めに子どもが寝てくれたのです。このままふさぎ込んでいるのはもったいない
少しでも気分を変えようと、映画を観るため、動画サイトを開きます。が、どれを観ていいかわからず、選ぶだけで疲れてしまいました。
妊娠してからというもの、私は生き物の死や暴力的なシーンを受け付けなくなってしまい、観られる作品が限られるのです。
仕方なく、本棚から好きだった作家小説適当に取って開くも、内容が頭に入ってきません。読書も大事な趣味のひとつだったのに、文字を読むのがこんなに疲れるなんて。
好きだった音楽にも興味が持てません。そもそも、子供がいるとゆっくり楽しめないので、楽しみ方を忘れてしまったのでしょうか。

どうにもならず、ぼうっとスマホを眺めていました。
すると、独身時代に使っていた、出会いサイトブックマークが目につきました。
サイトを開くと、「なぎさ」というハンドルネームで当時使っていたアカウントログインできました。
実は、夫と知り合ったのも、このサイトでした。
同い年の夫とは、サイトをきっかけに知り合ってから1年ほど交際し、結婚しました。翌年、子どもを授かります。ここまでは順調でした。
が、その後、平穏だった生活はどんどん変わっていったのです。


妊娠してからつわりがひどく、私は勤めていたレストラン休職しました。
怒涛の出産を終えると、休む間もなく、ハードな育児の日々が始まりました。
何もかも未経験で、思い通りにならない小さな赤ちゃんを、寝不足フラフラの中お世話をする毎日は、まるで永遠に終わらない強化合宿のようです。
新生児の頃よりは少し落ち着いたものの、今でもゆっくり眠れた日はなく、終わらない無限合宿の日々が続いています。
そんな中、夫はというと、ほとんど家におらず、育児に協力してくれません。子ども出産と同時に仕事が忙しくなり、その状態がずっと続いているのです。
でも、仕事とウソをつき、私に子どもをまかせて趣味や遊びに行っている日があるのも知っています。
仕事をセーブするのが難しいなら、収入が下がってもいいから、もう少し余裕のある仕事に転職してほしい。そう伝えても頑なに聞かず、家事も育児を私にまかせっきりのまま、ワンオペ状態でやってきました。
もう少し手伝ってほしい、話を聞いてほしくても、夫は仕事のストレスで私に当たり散らすこどもあるほどで、話せる状況でもありません。
「……久しぶりだなぁ、ここ」
出会いサイトを眺めていると、夫と知り合った頃の平穏な日々を思い出しました。
子どもが生まれて、なぜこんなに夫婦仲が険悪になってしまったのか。寝不足の頭でいくら考えても、もうわかりません。

「……」
いつの間にか、ソファーでウトウトしていました。
開いたままのサイトには、"新着メッセージあり"の表示が出ています。
『こんにちは。39歳の雅也といいます。普段は経営コンサルタントの仕事をしています。住まい世田谷のほうで、休日には、ランニングや……』
雅也という名前の男性からのメールには、趣味や得意な料理のことなどのざっと自己紹介が続き、最後に、
『最近、妻と距離ができてしまい、何気ないやり取りだけでも楽しめたら嬉しいと思い、メールしました』
そんなメッセージとともに、横顔ですがスーツ姿でストレートの黒髪に清潔感がある、優しそうな顔の男性の写真が添えられていました。
誰でも、何の話題でもいいから、話の通じる大人と会話がしたい。
『初めまして。料理好きとはすごいです、私は料理が苦手なので.......。ご結婚されているんですね。お子さんはいらっしゃるんですか?』
勢いで、そんな返信をしました。雅也さんからは、すぐに返事が来ました。
『お返事、ありがとうございます。子どもはいますよ、9歳の女の子が1人。なぎささんは?』
『私も、女の子が1人。まだ、1歳なんですけど』
『それは、まだまだ大変な時期ですね。中々、ちゃんと眠る時間もない感じじゃないですか? 返事は、余裕のあるときで大丈夫ですよ!』
『いえ、今日は珍しく寝かしつけがスムーズだったので大丈夫です。でも、睡眠不足は常にあって……』
『わかります。僕も、子どもが小さい頃はいつも寝足りなくて、しんどかったから。なぎささんのところは、いつもはもっと大変なんですね。それは、本当に辛いですよ』
スマホの画面が突然ぼやけて、何も見えなくなる。私は泣いていた。
この1年、どれだけ辛くても、子どもの前でも夫の前でも、泣いたことはなかったのに。
震える手で、ありがとうございます、とだけ何とか打ち込んで返信し、その日は眠りにつきました。

次回に続きます

このウラログへのコメント

  • Bud_bull 2023年06月30日 15:28

    興味があった物に興味が湧かない、完全に鬱状態ですね。

    ここを吐け口としたら、改善するでしょう。
    時間は掛かりますが。

    鬱で二度休職してます。

    で世田谷の雅也 知り合いがいて つい。w

    まさか?

  • あいか 2023年07月01日 13:51

    > Bud_bullさん

    コメントありがとうございます。
    興味があった物に興味が湧かないのはまずいですよね。はけ口も必要です。
    鬱で二度休職されているんですね…大変でしたね。。
    名前は偽名です。

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

あいか

  • メールを送信する
<2023年06月>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30