お布団ぐしょぐしょ

話せば長いのであるが、
朝目が覚めると布団の中が
粘液上のものでべっとりしていたのだ。

例えるならば、卵の卵白
そして杏仁のようなどくとくの
香りがしていたのである。

掛け布団を捲し上げ
こは何事かと真相究明を急ぐ
すると、布団の中に
ドクターシーラボのゲルクリームの
カップが斜め四十五度で起立していた。

中身のゲルは半分以上が
布団の上に流れ出て
残り半分がかろうじて残っていたのであった。
犯人はこいつでまちがいない。

幸いにもゲルクリームは合成着色料無添加
なので布団自体に害はない。
洗えば跡形もなく流れるであろう。
この程度であれば生理中のやっちゃった
よりも百倍も千倍もマシである。

問題はこのゲルクリームが
八千円もする代物だったということだ。
私が買ったのではなく母親が買ったアンチエイジングもので
ご丁寧にも金粉入の一品である。
それが半分以上、本来の目的を果たせぬまま
犬死してしまったわけだ。

その無念、私にもひしひしと伝わってくる。
もったいない。ああもったいない。