【あいれすっ】導入部ですっ！

アイドルちゃん。
ある日突然、偶発的に出会った、今をときめくアイドル。僕よりは歳上で、姉のように接してくれる。

妹は彼女の大ファンで、同じ写真集を三冊は買わないと気が済まない程だ。
無論、高校生の小遣いではどだい無理な話だ。

「兄くーん！」
彼女の訪問はいつも唐突だ。芸能界という時間が不定な世界に身を置く以上、仕方ないのかもしれない。

そして、いつも彼女は大胆不敵だ。
むぎゅ～。
なでなで…なでなで…

10中8、9は訪問の際、抱き着かれる。

「兄ちゃんから離れろっす！」
「お兄ちゃん。アイドルちゃんから離れろなのだっ」
引き剥がしにかかる新進気鋭ちゃんと妹。
「ん～。可愛いおとうとを甘やかしてるだけですっ♪」
なでなで…なでなで…
なかなか離れないアイドルちゃん。
「甘やかしでも駄目っす！」
「ん～？コトちゃんも兄くんを甘やかせばいいですっ。ヤキモチ」
「じゃあ遠慮なくっす！」
むぎゅ～
なでなで…なでなで…

どうしてこうなった。
「両手に花ですっ！嬉しい？」
うーん。微妙～。

げしげしげしげしっ
妹キックがひっきりなしに来る。
「お兄ちゃんのばか～！」
痛い痛い。早く離れなきゃ。
「兄くんがそう言うなら仕方ないですっ」
しぶしぶ離れるアイドルちゃん。
「むぎゅ～。すりすりっす！」
いつまで引っ付いてんの？
「妹ちゃん的には、アイドルちゃんが離れてれば問題ないっす。だからわたしは離れなくていいっす」
確かに蹴りは止んだけど、なんか妹怒ってるままだよっ！
「これはこれで、なんかムカつくのだっ」
「なんか不公平ですっ」

「ふははは！ならばこの俺様に抱き着くが良い」
父さん登場！
「やなこったなのだっ！」
「お断りですっ」

「ふははは！遠慮はいらないんだぞ？」
「父さん、後ろ後ろっなのだ」
「ふははは。後ろに何が？」
「あらあらまあまあ……」
ニコニコゴゴゴゴ……


ちーん。


とにかくナイスフォローな父さんだった。

ちゃんちゃん