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過敏すぎる子・捌

2008年10月27日 18:33

過敏すぎる子・捌

ゆっくりと危険物を扱うように

怜から離れる

怜はまだ微妙に痙攣している

根拠はないのだが

下手に刺激をすると

再び 彼女いうところの

身体の中に棲む欲の子が目を覚ますような気がした

惜しむらくは若い頃に出会いたかった気もする

この過剰なほどの感度の良さは

正直 記憶にない

そしてこの貪欲さもあまり記憶にない

少なくとも普通じゃないのは確か

はるか昔 友人4人を完膚なまでに吸い尽くした京子

自他ともに認めるえっち大好きの由理に匹敵する

あの頃なら白黒はっきりつけるくらいな気分で

とことん付き合いもしたろうが

わたしもはっきり若くはない

普通に相手をしたら勝てる気がしない

とりあえずベッドから出て飲み物を用意しておく

そしてPCの前に座りチャットに接続した

いつも通りのメンバーがいる

何もないようにそこに参加し たわいない話を楽しむ

するとアキラからメッセージが来た

『あのよ 今日 暇か?』

『午後から親に呼ばれてる』

これは嘘である 今 来られたら少し面倒

『そうか そっち行こうか思ったんだけどよ』

『来られてもわたしはいないぞ』

『断れねえか?』

『無理』

『怜について相談したかったんだけどよ』

『頭冷えたか?』

『おう でよ どう考えても怜が間違ってねえか?』

『つまりは親戚よりお前を選ぶのが正しいと?』

『だってよ 結婚したら親戚なんて関係ねえだろ?』

『は? 言ってる意味が見えないのだが』

『だってよ こっち来るんだぞ』

『ふむ』

『親戚なんか二度と会わねえだろ』

『お前 結婚したら彼女閉じ込める気か?』

あたりめえだろ、外に出る必要なんてねえだろ』

いつの時代の男なんだ? そう思った

『お前 それ違うんじゃねえの?』

『違うくねえよ 俺のでひいひい言ってる女だぞ』

呆れた男だな こいつも

アキラさんのじゃいけない、、、」

いつの間にか 怜も目覚め会話を見てたようだ

「おはよう 目覚めた早々 不機嫌な会話見せたね」

「いいんです アキラさんの底が見えてきた気がするから」

「こんなの捨てて さっさと新しいの探した方がいいよ」

「やがみさんじゃダメですか?」

「だめでしょ」

「え、ダメなんですか?」

「うん、だめ」

「わたしは嫌いですか?」

「いや むしろ好きだよ、ただね」

「ただ?」

「君がずっといる相手じゃない」

「意味がわからないです」

「闇が近づいてきてるとか言ったよね」

「はい」

「確かに 今 君は闇の中にいる

やがみって男が作り出した 闇の森にね」

「はい」

「ただ ここは君の場所じゃないから」

「そんな、、、、」

「ただね 闇とか言っても わたしの闇なんて

たいしたもんじゃないんだけどね」

「そうなんですか?」

「君の闇は アキラの存在とアキラの子を堕胎したこと」

「はい、、、」

「産めっていうアキラの言葉を断ち切って

まあ 母親に父親に知られないように処理しろって

言われたこともあるだろうけど 最後は君が選んだ答え」

「はい、、、」

「むしろ そっちの方が わたしのより深い」

「そうなんですか?」

「悪く言えば堕胎人殺しだよ」

「、、、、、、」

「色々事情はあるから責められる事じゃないけど事実は事実」

「でも、あの状況じゃ、、、」

「深くは聞かないからいいけど 事実だけは忘れちゃいけない」

「はい、、、」

「その上で 前に歩かなきゃいけない」

「はい、、、」

「わたしじゃ無理だ」

「、、、、、、、」

「歩けるまでいてあげるくらいしか出来ない」

「いつまでですか?」

「それは 君次第だね」

「わたし次第、、、、」

「欲は抑えてあげるから 自分と向き合いなさい」

「はい、、、、」

やることはやっといてこの言葉は如何なものかとは思う

ただ 正直 この子はいつまでも

わたしと居てはいけない気がした

やがみの闇 やがみワールドとか言われる世界

わたしもここから抜け出すのは簡単な事

その程度の闇 ただ良くも悪くも思い出が詰まった世界

それは捨てられない 世界ごと動くしかない

まあ これについてはいずれ語るとして

なんとなく いい会話っぽく進んでいたところに

無粋にも電話が鳴る

『あのよ やっぱ時間取れねえか?』

「無理だ」

『俺の一大事なんだよ、親はどうでもいいだろ』

「あのな嫌いでも親は親 人の根っこなんだぞ

自分か根付けるもの有れば別だが それを邪険にしたら

根無し草になっちまうだろ」

『でもよ』

「じゃあ お前 じいさんや父親の用事 断れるか?」

『無理に決まってるだろ』

「そうだよな土建屋三代目、自営業じゃなくても同じだよ」

『そうか』

「それより 親から電話あるから切るぞ 続きはチャットだ」

そしてチャットに切り替える

怜は裸の身体を押し付けるように抱きついてくる

「もしかして、、、」

「欲が起きたみたいです」

過敏な上に貪欲 ある意味すごい子だなと思った

「ちょっと打ち込んでいいですか?」

「いいけど」

怜はアキラにわたしのふりをしてメッセージを打った

『ところで彼女とはどんなのしてる?』

『聞きたいのか?』

『ちょっと興味があるかな?』

『聞きたいなら教えてやるぜ、うらやましがるなよ』

「いいのか?」

「聞きたいんです」

「ふむ」

アキラさんがわたしの事 どんな風に説明するのか」

「なんで?」

「四郎さん 知ってます?」

「ああ 彼ね アキラ言うところのマブダチ」

「あの人の目つきがある日変わった気がしたんです」

「ふむ アキラが何か話したと?」

「そんな気がするんです」

そしてアキラの自慢話が始まった

『怜と初めての時な 初物って初めてだったんでよ

友達に聞きまくったよ こんな子だぞって写真まで見せて

で、色々聞いてよ やったら写真見せろとか

報告しろとか言われてよ 

おかげで うまくいって 教えてよ写真も見せたら

みんなうらやましがってよ』

『ちょっと聞くが何の写真だ』

『そら 怜の写真だ』

『どんな?』

『当然 裸のに決まってるだろ』

馬鹿かこいつはと思いつつ 怜を見る

呆然とした顔で画面を見ている

そりゃ当然だろ あの時点では 怜はアキラが好きだった

そして初めての相手としてアキラを受け入れた

処女にとってそれはかなりな覚悟が必要だったろう

大事な記念すべき思い出だったはず

それが 簡単に人に話され しかも

知らぬところで自分の裸まで晒されていたわけだ

『でよ どんなことしたとか聞かれて

こんなことしたとか言ったらうらやましがられてよ

こんなのはダメだろとか言うから次回するぞとか言って

その次 したぞって教えたら また うらやましがられて』

『まさかと思うが また写真見せたのか?』

『いや 写真じゃ臨場感伝わらないだろ

だからビデオ見せてやったよ』

『おまえ それ、、、、』

『おう 馬鹿なやつらでよ そのビデオ見ながら

オナニー三回したとか 直接出来る俺がうらやましいとか』

馬鹿はお前だろ なんで彼女との行為を他人に見せる

心配になって怜を見た

意外にも穏やかな顔   いや これは きれてる、、、

無言で ベッドの上に座り 身体を開く

「やがみさん、、、」

どうやら泥沼の予感どこじゃなく

すでに泥の中に引きずり込まれたらしい

怜にキスをする

「吐き出すものは吐き出せばいいと思う」

怜は無言で頷く

「ただ 時間がないし 程ほどにね」

頷かず首を少しかしげる

どうやら 狂気に飲まれたなと思った

ある意味 手加減なしに全開放な怜が来る

自分が歳くった事が悔やまれた

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